茨城県では県北振興の具体策として、県北アートフェステイバルの開催準備費用を当初予算に計上しました。
茨城県の県北部は、日立市を中心とする太平洋に面するすばらしい景観を有する臨海部と温泉や美しい山々の自然に恵まれた中山間部を有します。また、最北端の北茨城市は日本美術再興の一大拠県となった五浦が位置しており、岡倉天心や横山大観などの活躍の場となっていました。
この県北地域では、かつて世界的に注目を集めたクリスト・アンブレラ展の舞台ともなり、芸術・美術の創作活動や作品展示を行うために絶好の環境にあります。
全国的にみてみると、瀬戸内海の島々を舞台とする「瀬戸内海国際芸術祭」や横浜トリエンナーレ、札幌国際芸術祭など地域の特色を活かしたアートフェステイバルが人気を博しています。
県北アートフェステイバルは、2016年の開催をめざして準備が進められていますが、特定のアーチストに偏ったり、一過性のイベントに終わってはならないと思います。
11月5日に行われた県議会一般質間で、橋本昌知事は、県北アートフェスティバルについて次のように語りました。
「アートの力を活用して県北地域の魅力を引き出すとともに、新たな魅力を創造することにより、これまで以上に交流を活発化させる取り組みとして、アートフェステイバルを開催することといたしました」
「大学教授、美術館館長、その他芸術関係者等の専門家で構成する研究会を設け、アートフェステイバルの基本的な考え方、展示する作品のタイプや配置場所、アーティストの選定方針など、様々な内容について意見をいただいております」
「この研究会では、発信力が高くシンボルとなるような作品を複数置くこと。様々な作品に親しめる拠点を市町ごとに配置すること。学生やアーティストが地元の人々と交流しながら創作活動を行うこと。国際性を持たせた企画とすること。などが重要であるとの提案をいただいております」
さらに橋本知事は、地元で先行して行われている常陸太田市が3名のアーティストを招聘して地域おこし協力隊として展開している取組みや、日立市の青年会議所などが中心に行こなっている「ひたちサンドアートフェステイバル」などを念頭として、「アートフェステイバルを充実させ、賑わいあるものにしていくためにも不可欠であります」と答えました。
こうした議論を受けて6日、井手よしひろ県議は、県北アートフェスティバルを所管している県北振興監と意見交換を行いました。財源の確保や市町村との連携など、まだまだ多くの課題があるという認識を確認した上で、地元で活躍する芸術家や団体などとの意見交換の場を早急に立ち上げて欲しいと要望しました。県北振興監は、今後設置する実行委員会の中に位置づけるか、意見交換を行う場を作るかなど、早急に検討していきたいと応えました。
写真は、「クリスト・アンブレラ展」(1991年秋、茨城県県北地域)茨城県の県北中山間地に1340本の青色の傘を点在させました。一本の傘の大きさは高さ6メートル、直径約8.7メートルという巨大なもの。1ヶ月弱の会期中に日本で50万人を動員しました。