総事業費65億円、ひたちなか市2024年度運行目指す
今や、茨城県を代表する観光スポットとなった「ひたち海浜公園のネモフィラ」。4月下旬から5月中旬にかけて、可憐なネモフィラの花が、真っ青な空間を演出します。
今年は、通常より2週間程度早く満開を迎え、3.5ヘクタールの広大な丘に、2品種約450万本のネモフィラをお楽しみいただけます。
ひたち海浜公園は常磐道から北関東道を経由して、自動車で訪れる方が多いのですが、GWを中心に大渋滞が発生します。そこで、JR勝田駅から「ひたちなか海浜鉄道湊線」を使って終点・阿字ヶ浦まで行き、そこから無料シャトルバスを利用する方法があります。渋滞しらずの快適な旅を楽しめます。
「ひたちなか海浜鉄道」は、ひたちなか市に本社を置き、茨城交通から湊線を引き継いで経営しているひたちなか市と茨城交通が出資した第三セクター方式の鉄道事業者です。勝田駅から阿字ヶ浦駅までの計10駅14.3kmを運行しています。
沿線にはひたち海浜公園や那珂湊おさかな市場、アクアワールド大洗水族館などの観光名所があり、通勤通学の足とともに、観光鉄道としても大いに期待されています。
“海浜鉄道”と名乗っているのですが、沿線で太平洋が観られるのはたった1箇所、時間にして数十秒の間しかありません。地元住民にとって、この湊線をひたち海浜公園まで延伸して、文字通り海の見える観光トレインとすることは長年の夢でした。
その夢が、次第に具体的な形となってきました。4月18日、ひたちなか市は、これまで検討してきた4つの延伸ルート案から、現在終点の阿字ケ浦駅から国営ひたち海浜公園の南側を通って、公園西口付近を終点とするルート案を取りまとめ、公表しました。
このルート案は総延長約3.1キロ。阿字ケ浦駅から北上し、海浜公園の南側外周に沿って進み、公園中央口を超えて公園西口付近を終点とする案です。他の案に比べて比較的距離が短く、車窓から海が見渡せることから最有力候補となりました。新しい終点は新たな駅は、沿線住民のひたちなか地区への通勤や買い物の利便性などに配慮し、ひたちなかと阿字ケ浦両地区に計3カ所設置する方針です。終着駅は、県有地の利用を想定し、バスと接続するためのターミナルや、物産品販売や飲食を提供できる観光拠点の整備も見込んでいます。この場所はひたちなか地区のアウトレットモールやホームセンター、家電専門店などの大規模ショッピングセンターにも隣接をしており、買い物客の利用も期待できます。
総事業費は約65億円と見積もられています。当初は鹿島臨海鉄道大洗鹿島線の単価実績を基に約11億~約28億円を想定していましたが、延伸ルートの距離が長くなったことや、区間の半分程度が高架になる見通しであることから、見込額が大幅増となりました。
この計画は「ひたちなか海浜鉄道湊線の延伸を実現する会」(会長・本間源基市長)が、3月下旬にルート案を決め、市が4月18日の市議会全員協議会で報告しました。
ひたちなか市は、2016年度中に基本計画や施設計画を策定する方針。17年度以降は、地域公共交通活性化再生法に基づく法定協議会を設けて協議し、測量や地質調査、設計を進めるます。地元の合意形成や都市計画決定、環境影響評価(アセスメント)の手続きなどを経て、2021年にも用地買収や工事に着手したい考えです。早ければ2024年度の運行開始を目指しています。