
「既存の政治を変える」と訴え、支持を広げてきた参政党。しかし、同党の政治資金の使い道を精査していくと、むしろ旧来の政党以上に不透明な資金の流れが見えてきます。
今回は、参政党と深い関係を持つ4社──株式会社エドワークス、イシキカイカク株式会社、ブリンクジャパン株式会社、ヴォストーク合同会社──をめぐる資金の流れに焦点を当ててみたいと思います。
■ エドワークス株式会社──参政党が100%出資した“子会社”
2022年に参政党自身が出資(出資金800万円)して設立したエドワークス株式会社(法人番号:4010001188912)には、多額の「講演料」が支払われています。講演の内容、対象、規模などは明かされておらず、2022年12月28日の467万円を皮切りに、2023年には4,745万円を計上。わずか2年間で6,377万円にものぼる講演料と出資金が、党から子会社へと流れているのです。
重要なのは、この会社が政党の直轄企業であるという点です。報道やネットの分析では「これらの資金が党代表・神谷宗幣氏に最終的に還流しているのでは」という疑惑も指摘されています。
■ イシキカイカク株式会社──“資金スキームの原型”か
神谷宗幣氏が2013年に設立し、現在は妻が代表を務めるイシキカイカク株式会社(法人番号:4120901032340)にも、過去から繰り返し多額の資金が支払われてきました。
2020年には会場費やWEB管理料名目で約525万円。2022年には約2,800万円、2023年も映画制作費名目で300万円以上が支払われています。
参政党が直接出資していないとはいえ、党幹部の個人企業に党の資金が流れていたという事実には注目に値します。
■ ブリンクジャパン株式会社──“架空請求”の疑い
ブリンクジャパン株式会社(法人番号:1340002013196)は、参政党の元広報部長・菊谷佳孝氏が代表を務める映像制作会社です。2023年には参政党本部から2700万円の借入を行っています。公党が民間企業に多額の貸し出しを行うことは、非常に希です。
鹿児島県支部の2023年政治資金収支報告書には、86万円ほどの支出の記載があります。中でも、11月9日分は「選挙活動費(第2区、第3区、第4区)」という極めて曖昧な表現で60万円強の出費です。
問題はここです。元候補者本人などから、選挙用のチラシやのぼり、リーフレットなどの制作費として発注された費用が、実際には「納品されていない」という証言が複数出ているとしんぶん赤旗が報道しました。
支部関係者とのやりとりでは、「ガソリン代をまかなうためだった」とする趣旨の発言も出ており、支出の動機そのものが正当とは言いがたい内容でした。(事件発覚後、選挙活動費の「第4区分」との記載を削除されました)
これが事実であれば、政治資金規正法違反(虚偽記載)にあたる可能性も否定できません。
■ ヴォストーク合同会社──謎の企業に4,587万円
2023年上半期だけで4,587万円の支出が確認されているヴォストーク合同会社(法人番号:8011003012486)。名目は「広告費」や「情勢調査費」とされていますが、具体的な調査内容、媒体、広告物などは一切不明。成果物も確認されていません。
この会社は2021年の設立以降、東京都渋谷区、神戸市中央区、兵庫県明石市と4回以上も所在地を転々としている実態不明の企業です。資本金や業務実績も公表されておらず、「ペーパーカンパニーではないか」との指摘があります。

資金の透明性こそ、民主主義の根幹
以上4社の事例には、それぞれに個別の問題がありますが、共通して見えるのは以下の構図です。
●参政党と密接な関係のある企業(幹部の個人企業、100%出資の子会社、元幹部の会社など)
●不明瞭な名目で巨額の資金が支出されている
●成果物の提示がなく、還流・虚偽記載の疑いが払拭できない
参政党は「クリーンな新しい政治」を掲げてきました。しかし、実際には政党資金を“自前の会社”や“幹部の関係先”に流すスキームが存在しているとすれば、その主張は看板倒れです。
政治資金は、私たち国民の寄附や税金がその一部を成しています。その適正な使途、透明な報告、そして誠実な説明責任がなければ、政治そのものへの信頼が崩れてしまいます。
参政党には、これらの疑念に対して、数字と事実に基づく説明責任を果たすことが強く求められています。
※この投稿は、総務省公表の政治資金収支報告書(令和5年分)、法人登記情報、報道記事、告発内容など公開情報に基づき構成していました。