小泉首相の判断を、「ポチ」のような米国追従と言ってのけた民主党に政権担当能力はあるのか
参議院選挙の投票日まで1週間。年金と共に、イラクの多国籍軍への自衛隊参加の問題が、話題として取り上げられています。
民主党の菅直人前代表は、5月1日に国連のアナン事務総長と会談し、「国連支援のための多国籍軍で、新たな国連決議があれば、自衛隊を送ることも十分検討できる」と述べ、主権移譲後のイラクで新たな国連安保理決議に基づく多国籍軍が編成されれば、新法を制定したうえで自衛隊参加は容認できるとの考えを示しました。
しかし、いざ多国籍軍が国連決議で創設されると、民主党の態度は一転しました。
6月15日の衆院本会議で仙石由人政調会長は、多国籍軍への自衛隊参加について「小泉総理の、このポチのようにとやゆされかねないブッシュ大統領への随伴は、自衛隊のみならず国民をも、ベトナム化した中東の泥沼へ埋没させる危険にさらしております」と、品性のない発言を国会で行い良識ある国民からひんしゅくを買いました。派遣の条件が満たされたにもかかわらず、多国籍軍への参加が具体化すると「参加反対、即時撤退」を言い出し、矛盾をさらけ出しました。その場その場で発言がブレたり、180度変える“ご都合主義”では、国民はどれが本当の主張なのか混乱しています。
サマワに派遣されている自衛隊について、朝日新聞と地元紙が共同で世論調査したところ、自衛隊駐留に85%もの人が「歓迎」と答えています。(自衛隊の人道支援活動、サマワ市民の85%が高評価)自衛隊による人道復興支援には一段と期待が寄せられており、「この重要な時期に、日本がイラクへの国際的な支援体制から脱退すれば、国際社会から軽侮されるだけ」(6月17日付「読売」社説)です。
選挙のためには何でもありの民主党には、政権担当能力はありません。したがって、日本のカジ取りを任せるわけにはいきません。
毎日新聞2004.05.01夕刊
自衛隊イラク派遣:多国籍軍参加を容認--菅民主党代表「国連新決議あれば」
【ニューヨーク尾中香尚里】民主党の菅直人代表は4月30日午前(日本時間1日未明)、ニューヨークの国連本部でアナン事務総長らと会談した。菅氏はイラク問題に関して「国連支援のための多国籍軍で、新たな国連決議があれば、自衛隊を送ることも十分検討できる」と述べ、主権移譲後のイラクで新たな国連安保理決議に基づく多国籍軍が編成されれば、新法を制定したうえで自衛隊参加は容認できるとの考えを示した。国連平和維持活動(PKO)以外で自衛隊の海外派遣が可能とした点で、これまでの姿勢から一歩踏み込んだと言える。
会談で菅氏は、自衛隊の海外での武力行使を禁じた憲法に触れ、自衛隊が多国籍軍に参加する場合も「後方支援や人道支援に限る」と強調。そのうえで可能ならPKOの展開が望ましいとの認識を示した。しかし、アナン氏は「PKOは考えていない」と明言した。
菅氏は会談後の記者会見で、多国籍軍への自衛隊派遣容認姿勢について「イラク問題に対応するには、PKOが編成されない以上、そういう選択しかない。武力行使と一体化しない後方支援なら、多国籍軍として出すことも可能」と語った。派遣の形態については「自衛隊内に『国連待機部隊』を設けて参加することもありうる」と述べた。
衆議院本会議議事録2004/6/15民主党政調会長仙石由人
総理は、今回、国連決議1546が決議されるや否や、間髪を置かず直ちに、ブッシュ大統領に対し多国籍軍に参加することを言明し、派遣された自衛隊を流用、転用しようとしているのであります。多国籍軍に参加すれば、当然のこととして統一指揮下に入ることになります。そうでなければ、イラクでの自衛隊の存在及び活動は国際法上正当化する根拠を持ち得ないことは明らかです。
小泉総理は、多国籍軍には参加するものの、その国連の枠組みとは離れて、国権の行使として、戦時下のイラクで駐留し、活動させるというのであります。まことに内向き、自民党、公明党内でしか通用しない、国際社会では笑い物になる論理でしかありません。
いかなる国際法上の根拠で、どのように憲法を拡大解釈すれば、国際法上軍隊とみなされる存在を国権の行使として他国で駐留させ、行動させることができるのでしょうか。これでは、法治国家は弊履のごとく打ち捨てられたも同然であります。
ブッシュ大統領のイラクに対する戦争の大義である大量破壊兵器などなかったことは、テネットCIA長官の辞任で世界じゅうに明らかになりました。あなたのアメリカの先制攻撃、イラク戦争支持にいたしましても、イラクへの自衛隊の派遣にしても、今回の多国籍軍参加の表明にしても、国際的に孤立を深めるブッシュ大統領に唯々諾々と従っているにすぎません。
小泉総理の、このポチのようにとやゆされかねないブッシュ大統領への随伴は、自衛隊のみならず国民をも、ベトナム化した中東の泥沼へ埋没させる危険にさらしております。一刻も早く退陣していただかねばならない極めて大きな理由の一つであります。