神栖町東深芝の鹿島臨海工業地帯神之池(ごうのいけ)西部地区に、製材業界トップメーカーの中国木材が進出することが正式に決まり、中国木材の堀川保幸社長と橋本昌知事が5月31日、県庁内で仮契約書を交わしました。
県が保有する工業用地28.8ヘクタールのうち5.7ヘクタールを約16億5800万円で購入し、23.1ヘクタールを年約1億5000万円で賃貸契約(建設スケジュールの合わせて、平成17年度から19年度にかけて順次契約。契約期間は20年間)します。
また、隣接する日本製鋼所が所有する民有地11.9ヘクタールもあわせて取得する計画で、既に両社は売買交渉に入っているとされています。
中国木材は、製材業の国内トップ企業。主に北米材を輸入して住宅用構造材の生産・流通を手がけています。昨年度の売上高は581億円。本社は広島県で、佐賀県、愛知県、静岡県にも工場があります。
関東地区への工場進出は初めてで、同社最大規模の工場になります。約5万㎡の製材工場・プレカット工場などを建設し、専用岸壁(水深13m、L約300m)も整備します。土地代を除く投資額は約200億円で、年間約100万立方mの住宅用構造材を生産する計画。これは中国木材の現在の販売量に匹敵する量で、鹿島進出に伴い同社の販売量は倍増する大きな計画です。今年10月にも着工し、操業開始は平成19年2月ごろの予定。従業員は約500名の計画で、そのうち約350名を地元から雇用するとされ、新規雇用に大きな期待が寄せられています。
この工業地帯は、造成前の1962年度から、県が「鹿島特会:鹿島臨海工業地帯造成事業特別会計」を設け、独立採算で運営してきました。工業用地は2879ヘクタールあり、159社173工場が立地しています。現在141ヘクタールが売れ残っており、県が今回売却する用地は、もともと日本製鋼所が保有していたが、95年度に県が買い戻して以降、買い手が見つからなかった土地です。
中国木材の用地の地図を表示
この中国木材の誘致には、複雑な経緯があります。時系列にまとめてみました。
S49.12 | 日本製鋼所が県から当該用地(40.7ha)を取得(5,484円/平米単価) |
H7.2 | 日本製鋼所が工場用地を中国木材に売却する意向を表明 |
H7.5 | 県木連(茨城県の木材業者の連合体)が中国木材の進出反対の決議 |
H8.3 | 県が当該土地の一部(28.8ha)を買い戻し(28,850円/平米単価) |
H12.5 | 中国木材が日本製鋼所跡地に再進出の意向表明 |
H14.1 | 県木連が進出反対を中国木材に文書で通知 |
H15.7 | 中国木材が神栖町に進出協力要請 |
H16.1 | 中国木材が千葉港内に大型製材工場進出と新聞報道(工場用地15ha) |
H16.4 | 中国木材が茨城県に鹿島進出断念を通告 |
H16.12 | 中国木材が茨城県が鹿島進出を再交渉(千葉港では面積が過小、輸送コストが割高) |
H17.5 | 茨城県と中国木材との分譲仮契約(5.8ha:28,850円/平米単価) |
大規模な企業進出は大いに歓迎したいと思います。しかし、一連の経過の中で、2点不明瞭な点があります。その第一は、平成7年と14年、2度にわたって進出に反対した県木連が、今回はなぜ反対しなかったのかという点です。第二は、県は日本製鋼所から平米単価28,850円で買い戻した土地を、今回、中国木材に同額の28,850円で売却したことになります。土地価格は下落しているとはいえ、売却益が出ないことには疑問が残ります。
単純に考えれば、中国木材の進出に県木連が最終的に反対しないのであれば、平成7年に売却の動きがあった時点で、この話は結論に至っていたと思われます。そうすれば平成7年に83億円余りで買い戻した県の出費は、全くゼロに出来たわけです。仮定の話ではありますが、余りすっきりした話しではないことは事実です。
県が売却を決定した、との突然の報道に愕然としております。
小生は、2回目の進出交渉時に県木連を中心に組織した同社鹿島進出調査対策委員会の副委員長を務めまた経緯がございます。
このニュースを全国植樹祭が数日後に迫った時に知らされることに、さらに苦渋の思いで一杯です。
鹿島特別会計て?
よくわかりません。