[情報公開]松山市の地図会社が水戸市提訴…CDで提供を
毎日新聞(livedoor ニュース 2006/8/21)
電子データとして記録されている公文書は印刷しないと開示できないとした決定は、時代遅れで無駄だとして、松山市の地図製作会社が水戸市を相手取り、決定の取り消しなどを求める訴えを水戸地裁に起こした。データをCD―ROMなどに複製して引き渡すよう求めている。同社は同様の訴えを栃木、岩手県でも起こしている。
訴状(7月29日付)などによると、同社は地図製作のため、今年2月14日、国から水戸市に譲与された農道、水路の図面などの公文書の開示を市情報公開条例に基づき請求した。市は「全部開示」を決定、8日後に同社に通知した。
同社は、公文書を電子データのまま複製して開示するよう求めたが、市は「条例規則で印刷しないと開示できない」と拒否。同社は「複製して開示した方が正確で安価。資源節約にもなる。印刷しなければ公開できないという市の姿勢は時代錯誤だ」などと主張している。
市管財課によると、公文書のうち録音テープや映画フィルムなどを除く電磁的記録の開示方法は、同条例施行規則で「印字し、または印刷したものを閲覧・交付する」と定められている。今回の開示対象の文書は印刷するとA1判(縦60センチ、横84センチ)で約1500枚に達する。市は開示に当たり、業者に印刷を委託して、その費用を同社に請求する予定だった。
同社や印刷業者などによると、今回のデータ量を複製する場合、CD―ROMなら高くても数千円。だが、このサイズの紙に約1500枚カラーコピーした場合約8万円かかるという。
市は「顧問弁護士と協議して対応を決めたい」としている。
地図会社の主張は当然至極の話しです。その当たり前のことを、訴訟という手段で行わなくてはならない日本のシステムの硬直性には疑問を感じます。電子データーをわざわざプリントアウトして、もう一度そのアナログデータをデジタル化するという途方もない遠回りを、行政は強いています。税金の無駄遣いをなくすためにも、産業を活性化するためにも、情報公開条例を早期に改正して、デジタルデータの公開に道を開くべきです。


水戸市電子公文書をCD―ROMでも開示
朝日新聞(asahi.com 2006/8/23)
水戸市は8月22日までに、電子データで記録されている公文書について、印刷したものに限っていた開示方法をCD―ROMやフロッピーディスクでも交付できるよう市情報公開条例の施行規則を一部改正した。
きっかけは松山市の地図製作会社が同市に対し、電子データの公文書をCD―ROMなどに複製して交付するよう求める訴えを7月に水戸地裁に起こしたこと。施行規則で電子データの開示は「用紙に印字し、または印刷したものの閲覧または交付」と定められていたが、同社は「CD―ROMなどで交付する方が簡単で安価。印刷したものに限るのは時代錯誤」などと主張していた。
市は「国や県でも電子記録による開示は認められており、同社の言い分は理解できる」として施行規則の一部を改正。公文書の「全部開示」の場合に限り、CD―ROMなどに複写して交付できるようにした。同社には近く施行規則改正を通知するという。