10月7日未明、日立市の南部を流れる瀬上川が、低気圧の通過に伴う異常潮位と満潮(午前3時45分)が重なり、新明橋と暗渠部の入り口間で氾濫しました。
この氾濫によって、床上浸水5戸、床下浸水15戸の被害が発生しました。
更に、7日午後15時53分のこの日2度目の満潮時にも、再び氾濫し、被害を大きくしました。
瀬上川は、99年10月27日夜、日立地方を襲った集中的な豪雨によって氾濫し、63件の浸水被害が発生しました。
瀬上川は、昭和47年から平成6年にかけて改修工事が行われ、河道の整備は一部(日立電鉄久慈浜駅前)を除いて完了しています。
しかし、同河川は上流と下流の高低差が少ないため、波浪や高潮の影響を受けやすく、河口部の除波堤も十分な効果を発揮していません。特に、長い周期の波(7秒以上)には効果が得られないという調査結果が公表されています。
こうした状況を踏まえて、井手県議らは、河口水門の設置ならびに強制排水ポンプの設置を提案しました。
県も一度は、水門設置の方向性を示しました。(平成11年12月15日土木委員会での井手よしひろ県議への答弁)
しかし、国との交渉の過程で、1.建設費が過大になる、2.水門の調整が難しい、などの理由で河口水門の設置を方向転換しました。そして、河口の波除堤の増築、途中に減衰池の建設を行うことで、長周期の波浪への対策が可能との結論を出しました。
波除堤、減衰池が完成した結果、ここ3年ほどは浸水被害も最小限に抑えられ、毎年、開かれる住民とへの説明会でも、改修の効果を評価する意見が出されていました。(瀬上川の溢水対策に関する説明会2006/5/13)
こうした状況の中での、大規模な浸水被害の発生に、地域住民や行政関係者も驚きを禁じ得ませんでした。
今後は、廃止された日立電鉄の久慈浜駅活用計画が進められています。その際には、瀬上川が暗渠になる部分の抜本的な改修を行う必要があります。更に、瀬上川に流入する雨水の処理も見直す必要があると思います。