4月2日、九州から東北地方までの広い範囲で黄砂が観測されました。たまたま、前日夜、洗車した愛車が黄砂の襲来でブチ模様になってしました。
気象庁によると、2日の午後5時までに全国98か所の観測地点のうち71か所で黄砂が観測されたとのことです。
黄砂現象とは、ゴビ砂漠、タクラマカン砂漠などの東アジアの砂漠域や黄土地帯から強風により大気中に舞い上がった黄砂粒子が浮遊しつつ降下する現象のことです。黄砂粒子はいったん大気中に舞い上がると、比較的大きな粒子は重力によって速やかに落下しますが、小さな粒子(粒径が数μm以下)は上空の風によって遠くまで運ばれます。
ここで問題になるのは、日本まで数千キロも飛来してくる黄砂は、中国本土に降り注ぐ黄砂より粒子が小さいということと中国の工業地帯の上空を通過する際に、大気汚染物質を吸着してくるということです。名古屋大学太陽地球環境研究所の大気化学の研究グループが、大気中からフィルターで集めた粒子一粒ごとの成分をレーザーで瞬時に分析できる装置で観測したところ、中国大陸の砂漠地帯で採取した黄砂には含まれていない窒素酸化物や硫黄酸化物といった大気汚染物質が、日本に飛来した黄砂の一粒ずつに多量に吸着していることを確認しています。
粒が小さく、硫黄酸化物や窒素酸化物などの大気汚染物質を含んだ黄砂は、黄砂は単に洗車を邪魔するだけではなく、人体への健康被害も懸念されています。大分県立看護科学大学の市瀬孝道教授は、「黄砂そのものがアレルギーを引き起こすわけではないと言いましたが、黄砂に付着しているカビ等の成分がアレルゲン(抗原)となり、これに黄砂の中のSiO2のような成分が、そのアレルゲンの作用を強く助長する(アレルゲンによる炎症を悪化する)可能性はあるかと思います。 確かに、汚い物を付着した黄砂(大気中を浮遊していた黄砂)はダニ抗原や卵白抗原を入れなくてもアレルギー反応に近い炎症が見られます」と述べています。(「黄砂アレルギーについて」2006/5/8、5/9一部加筆)
東アジアの環境問題で、日本のリーダーシップが不可欠
中国では内モンゴル地区を中心に、日本全土の4.6倍に当たる国土の18%が砂漠化し、乾燥などによる荒廃地は46%に及んでいます。森林の乱伐や過剰栽培、過放牧でやせてしまった土地に、温暖化による降雨量の減少が追い打ちをかけています。
環境問題は、地球温暖化対策は日本一国も問題ではありません。日本はその環境面での先進的技術を、東アジア全体の環境問題解決に提供する必要があります。環境をキーワードにした外交戦略に構築が強く望まれています。
参考:気象庁の黄砂情報
参考:黄砂パンフレット(環境省)