日立市の会瀬漁業協同組合の大型定置網1基が、大型船舶の進入により壊滅的な被害を被っていることが判明しました。
会瀬漁協は、会瀬港の東方沖合い3.5kmから8.5km(幅約3km)に、長さ約700mの大型定置網を2基設置し、タイ・ブリ類・スズキ・マグロ・アジ・サバなどの多種多様な魚を漁獲をしています。つい最近は、体長9メートル、重さ4.6トンの巨大ウバザメがこの定置網に掛かり、全国的なニュースとなりました。
4月30日、井手よしひろ県議と舘野清道市議は、会瀬漁協の今橋一也組合長を訪ね、被害の状況について説明を受けました。それによると、4月16~22日、時化により漁に出られなかった間、沖側の定置網に大型船舶が北方面から進入し、外枠の30ミリの鋼鉄製ワイヤーを根こそぎ切断。天候が回復した後、漁網を引き上げようとしましたが、全く回収できなかったということです。被害総額は3億円程度に上り、改修するためにも1年以上の時間が掛かる見込みです。
定置網を破損させた船舶の詳細は不明であり、現在、海上保安庁第三管区海上保安本部などに協力を仰ぎ、原因船の特定に努めています。
会瀬漁協は今橋組合長のもと、日立市水産振興協会の協賛で地場産水産物を朝市で直売するなどして、組合の振興に努力しています。また、地元のスーパーマーケット3箇所や国民宿舎へ直接取引するなど積極的な販売活動を行い、農水省から平成18年度、先進成功事例として全国に紹介されています。しかし、近年の異常気象の影響で時化による休漁が相次ぎ、昨年は通常の4割以下に漁獲高が低迷していました。さらに、船舶による定置網の破損事故が続発し、昨年は7件発生しました。その対策のための「事故防止対策協議会」を設置した矢先、今回の事故となりました。井手県議らの調査に今橋組合長は、「定置網などの漁具には保険が適用されないため、このままでは全壊した定置網を再建するための財源が調達できません。残された1面の定置網で漁は続けていきますが、漁協の存続にも通じる深刻な事態です。なんとか、原因船が判明できることを切望しています」と語りました。
井手県議らは、日立市、茨城県並びに海上保安本部に会瀬漁協の支援を強く求めていくことになりました。(写真は、会瀬漁協に引き上げられた定置網のワイヤーやウキ)