5月22日、井手よしひろ県議は県鹿島港湾事務所を訪れ、昨年秋に座礁した3隻の大型船の撤去状況を現地調査しました。
鹿島港では、昨年10月わずか1ヶ月の間に、急激に発達した低気圧の影響を受け、10万トンクラスの大型貨物船3隻が相次いで座礁するという事故が発生しました。まず、10月6日、パナマ船籍の「ジャイアントステップ号」(98,587トン)が日川浜沖で座礁し、乗組員26人のうち10名が死亡するという大惨事が起こりました。同じ10月24日、今度は香港船籍の「オーシャンビクトリー号」(88,853トン)が鹿島港南防波堤に衝突し座礁。パナマ船籍の「エリダエース号」(85,350トン)が南防波堤先1キロの地点で座礁しました。
直接の原因は、急激に発達した強力な低気圧による風と波浪に対しての操船ミスです。しかし、台風と違って低気圧を軽視し、鹿島港外への避難のタイミングを逸したことが真の要因とされています。
すでに、エリダエース号は昨年11月末に撤去が完了していますが、ジャイアントステップ号とオーシャンビクトリー号は、海岸付近での懸命の撤去作業が続いています。いずれも、7月の海開き前までに完全撤去の予定となっています。
全国初:基準を改定し低気圧でも外洋への避難を勧告
この座礁事故を踏まえ、鹿島港災害対策協議会は、台風に限らず、低気圧でも荒天になる場合は避難勧告を行うことなどを決め、3月1日より運用しています。低気圧でも避難勧告を行うのは国内では初めての試みです。
新しい勧告基準は日本気象協会提供の鹿島港の海象予測が北~東寄り(0度~20度)の波高4メートル以上で、平均風速が秒速10メートル以上の場合、予測の状態となる24時間以上前に対象船舶に対して避難勧告を行います。そのために、国土交通省鹿島港湾・空港整備事務所は19年度、港の入り口付近に波高計を増設する計画です。対象船舶は3000トン以上で、①着岸係船中の場合は、できるだけ速やかに離岸に関する諸手配を実施、港外の安全な海域で漂泊避難する、②港外に錨泊中の場合は抜錨の機を逸せず、安全な海域で漂泊避難するなどの対策を講ずることを求めます。3000トン未満の船舶には、①港内や港外に錨泊中の船舶は代理店などと調整、岸壁での係船避泊や他の港・泊地に避難、②係船避泊する船舶は係留索のもやいを増やし、機関の準備、厳重な見張りなどの安全対策を実施を求めています。