選挙違反で免停職の労組元幹部に1億円…川崎市交通局
読売新聞(2007/8/10)
2004年の参院選を巡る川崎市交通局の労働組合幹部による選挙違反事件で、有罪が確定した川崎交通労組の元委員長(59)ら幹部8人に、同労組と上部団体の「日本都市交通労組(都市交)」(東京都港区)が「犠牲者救援金」として計1億円を支給していたことが9日、分かった。
懲戒免職や停職処分で支払われなかった退職金や給与、賞与を補てんする目的。川崎交通労組の谷野(やとの)安喜夫委員長は「組合活動の一環だったが、時代にそぐわず、今後は規約を見直したい」としている。
元委員長は、横浜市教職員組合出身で民主党比例候補の那谷屋(なたにや)正義氏(当選)の票の取りまとめを依頼され、現金15万円を受けとるなどした公選法違反の罪に問われ、懲役1年6月、執行猶予5年の刑が確定。04年12月に懲戒免職になった。ほかの7人も罰金50万~30万円の略式命令を受け、6~3か月の停職となった。
労組関係者によると、都市交は昨年8月、元委員長に定年となる08年3月までの給与と賞与、退職金に相当する4500万円を支出、元委員長の裁判費用などを加え計6000万円を支払った。川崎交通労組は8人に停職などによる給与の減額分など計4000万円を支出した。
これらの支出は、組合活動中の不利益や損失を補償する川崎交通労組の「犠牲者救援金」制度に基づき、04年12月に機関決定。規約にのっとって、都市交と川崎交通労組で支出した。規約では給与の補てんなどのほか、刑事事件などでの逮捕に1万円、3か月以上の懲役・禁固の実刑に20万円の見舞金支払いなども規定している。具体的にどんな例を対象とするかは明文化されていない。組合活動中の交通事故以外で支払われるのは初めてという。川崎交通労組に、川崎市から公金は支出されていない。
川崎交通労組の谷野委員長は救援金制度については、「事件や処分で生活資金を断たれる組合員にとって必要」としている。都市交は取材に対し、「規約、規定にのっとり交付した」と回答した。同じ選挙違反事件では神奈川県教職員組合と川崎市教職員組合の幹部も逮捕されたが、両組合は「支払いはない」としている。
あきれた民主党の組合選挙の実態が白日の下に曝されました。話題になっているのは、元川崎交通労組の執行委員長・熊耳義雄氏。熊耳氏は、04年の参院選の際、民主党比例区から立候補して当選した那谷屋正義氏(元横浜市教職員組合書記長)への投票と票の取りまとめ依頼を、元県教職員組合執行委員長の小中儀隆氏から受け、現金15万円を受け取りました。熊耳氏は、懲役1年6月、執行猶予5年の刑が確定し、04年12月に川崎市を懲戒免職になりました。この熊耳氏らに組合側から、組合活動中の不利益や損失を補償する川崎交通労組の「犠牲者救援金」制度に基づき約6000万円が支払われました。同じように停職などの処分を受けた同組合の8人にも合計4000万円が支払われたということです。
選挙違反、それも現金買収という公序良俗に反する行為に、公務員の労働組合が正式な機関決定を経て、公金を支出するという感覚はどういったものでしょうか。当該の組合員は、こうした事実を知り、認めたのでしょうか。今後の事件の推移が注目されます。