エコ農業茨城構想専門委員会が橋本知事に提言
昨年(2007年)12月、有識者でつくる「エコ農業茨城構想専門委員会」は、環境保全型農業の全県的普及を図ることを目的に、エコ農業に取り組む農家への直接支払いやエコ農産物の認証制度創設などを柱とした提言書を取りまとめました。県は、これを受けて「エコ農業茨城推進基本計画」を今年3月までに策定し、来年度の事業に反映させる方針です。
基本戦略として、①地域総点検活動の推進、②エコ農業のステップアップへの支援、③農業農村の良好なイメージ醸成、④いばらきエコ農産物の販売促進、などを柱として設定しています。具体的には、農法変更に伴う新たな生産費や減収分として、一定基準を満たした農家に対し、県が交付金を支払う必要性を指摘しています。
エコ農業の面的拡大を促すため、取り組む集落を「開始・展開・優良」の三段階に分けて認定します。
「開始地区」は農村環境の保全に取り組む集落です。市町村長と協定を結び、県の定める農業環境規範を守ることが要件となります。地域ぐるみの保全活動が基本となるため、農地・水対策への加入を促します。
「展開地区」はエコ農業を実践する集落で、ここに直接支払い制度を導入します。先進的な減農薬・減化学肥料栽培などを対象とした国の「農地・水・環境対策」の営農活動支援は、地域で一定のまとまりのある取り組みに限られます。茨城版の直接支払いでは、このまとまり要件を外し、1戸でも交付金を受けられるのが大きな特徴となっています。
「優良地区」は、エコ農業を面的に広げた地域で、既存の補助事業を優先的に採択できるメリット措置を設けます。
県単位の直接支払い制度に関しては、滋賀県が二〇〇四年度に導入し、減農薬栽培の面積拡大など効果を上げている。
委員会は今年四月、橋本知事からの要請を受けて発足。委員は学術経験者や流通、外食産業、生産者、消費者団体、環境保全活動、農業団体の代表十三人。現地調査を含め、計八回にわたって議論を重ねてきた。
橋本知事は「本県は日本農業をけん引する立場にあり、提言をもとに茨城農業の特色をアピールし、農家を支援していきたい」と話し、エコ農業の普及拡大に意欲を示した。
参考:「エコ農業茨城」構想専門委員会について
参考:国の「農地・水・環境保全向上対策」について