公費タクシーの金品受領、13機関で520人
読売新聞(2008/6/6)
財務省などの職員が深夜帰宅の際に公費で乗ったタクシーの運転手から現金やビールなどを受け取っていた問題で、該当する中央省庁の職員は13機関で少なくとも520人にのぼることが、6日午前までの各省庁の集計で分かった。
約20年前から同様のサービスが行われていたケースもあったが、一方では国土交通省や経済産業省のように直近の1年間しか調べていない省庁もあるため、人数はさらに増えそうだ。タクシー運転手が現金を渡していた場合は道路運送法に抵触する可能性があるため、国交省はタクシー業界に事情を聞く方針。
本省職員約680人のうち少なくとも11人がビール券や飲み物の提供を受けていた環境省では、全職員約1100人を対象に再調査する方針を決めた。
11人のうち20歳代の男性職員は、2006年度に34回タクシーで帰宅し、うち8回で計1万5000円相当のビール券のほか、車内で缶ビールやつまみを渡されていた。自宅までのタクシー料金は1回約2万3000円で、8回とも同じ個人タクシーの運転手だった。中には20年前にもサービスを受けていた職員もいるという。
総務省でも、行政管理局の課長補佐クラスの男性職員が、クオカード(500円相当)を複数回にわたり、受け取っていた。この職員は03年度から5年間にわたり、ビールやつまみの提供を20回程度、受けていた。別の18人の職員も缶ビールとつまみを受け取っていたという。増田総務相は「場合によっては公務員倫理法令上の問題も検討する」と述べた。
残りは車内でビールやつまみを受け取っていたケースで、国土交通省が財務省に次いで多い36人だった。農林水産省では13人が計139回にわたり、ビールの提供を受けていた。北原俊美・経理課長は「タクシー運転手はいわゆる利害関係者には当たらないので、ビールを受け取る行為が国家公務員倫理規程に触れるとは思っていない」としながらも、「財務省の対応を見極めながら対応を検討したい」と話した。
いまだに調査結果を公表していない厚生労働省では、舛添大臣が「結果が出たらすぐ公にしたいと思っている」と述べた。
額賀財務相は、財務省の職員383人が公費で乗ったタクシーの運転手から現金やビールなどを受け取った問題について「国民の疑惑、不信を頂いたことは誠に遺憾だ」と陳謝した。
冬柴国交相は6日の閣議後の会見で、現金の受け取りについて「割り戻しになるのではないか」との見方を示し、タクシー事業者らから道路運送法に抵触していないか事情を聞く方針を明らかにした。また、商品券などについても「換金性の高いものは問題だと思う」と述べた。
道路運送法は、タクシー事業者が認可された運賃から客に一部を払い戻す「割り戻し」を禁止している。

民間人であればこうしたサービズを受けることも看過されるでしょう。しかし、いわゆる官僚のタクシー代は税金から支出されていることを考えれば、庶民感覚からしても絶対に許せません。
そもそも残業をしたからといって、無条件にタクシーチケットが支給される体制そのものが間違っているのではないかと思う。私自身も15年間、民間企業で働いていました。百貨店に勤めていましたので、催事の準備で帰宅が12時を回ることも少なくありませんでした。しかし、私の会社ではタクシー券を配る仕組みは全くありませんでした。これが普通の民間企業の感覚です。
官僚の働き方そのものを見なおすことが必要です。
(写真はイメージ写真でこの記事とは直接関連はありません)

(2008/6/10更新)
6月10日、井手よしひろ県議は、茨城県県庁のタクシーチケット利用の実態を聞き取り調査しました。
その結果、平成19年度のタクシー券の利用実績は、金額で538万円あまり、件数で2340件に上っていることが判明しました。内訳は、本庁関係が128万円(470件)、出先機関や県立病院などの関連機関が410万円(1870件)となっています。
中央官庁のような深夜残業の際のタクシー券利用の実態はありませんでした。
参考:庶民感覚とは大きな乖離「霞ヶ関の居酒屋タクシー」
井手よしひろ様(上記コメントのつづきです)
ただ、私が公明党に期待するのは、もっと網羅的・根源的・長期継続性のあるチェックです。「地方には個人タクシーがない」からこそ、形を変えて「民」が「官」にすり寄り、「官」が「民」を利用する構図が存在するかもしれません。
公共工事における談合なんて、その仕上がりの姿であって、その裾野には多種多様な官民癒着行為が蔓延しているんじゃないでしょうか。
そういう行為を誰が監視し、撲滅していくのか? 警察や検察は、立件できる確信がなければ動かないし、アピール効果の高い事案を優先するでしょう。一罰百戒的な措置を発動する機関にすぎません。
もっと日常行為レベルから襟を正させるには、全国地方公共団体の議会で一定の勢力を有し、情報をふんだんに入手でき、人脈も経験もある集団が本気になって一斉に取り組むことが最も有効と思う次第です。
井手よしひろ様、
「年間のタクシー券使用が、どの程度の金額になっているのか調査を依頼」されたとのこと。迅速な対応に敬意を表するとともに、結果を楽しみにしています。
働くキリギリス 様に追記
タクシーチケットについては、各課毎に庶務担当が管理している制度はあります。しかし、原則、一般職員の残業帰宅の際には利用できません。
年間のタクシー件使用が、どの程度の金額になっているのか調査を依頼しました。結果が出れば、このブログで報告します。
働くキリギリス 様
まず、地方には「個人タクシー」自体がありません。また、「タクシーチケット」を事前に配布するシステムも、私が認識している範囲ではありません。
どうしても深夜残業が必要ならば、自分で立て替えて、後日精算する方式です。
まずは、霞ヶ関でものチケット制度を撤廃するのが、改善の早道ではないでしょうか。
地方公共団体に同種の問題は存在しないのでしょうか?
本日、公明党太田代表は、官僚へのタクシー券配布全廃(含 庁内仮眠施設設置)の検討を提案しています。
この機会に公明党は、全国津々浦々に存在する官民の癒着行為を徹底的にあぶり出して、公費の無駄遣い&「ずるい手段でお上にすりよった者だけが得をする」という構図を撲滅すべく努力してほしい。自民党が抵抗するなら情報公開で堂々と勝負してほしい。
たまたま騒がれたタクシー券問題だけをとりあげて、霞ヶ関の国家公務員(全公務員の数%以下では?)を糾弾するだけでは一過性。おそらく、人々(特に無党派層)は肝心なところまではメスが入らないことに白けきっているのではないでしょうか?
以前から指摘しているように、「現状を認めた上でのマイナーチェンジ」ではなく、「与党で長年活動したことを活かして抜本的な改革を行う」よう努力してほしい。