少子化が進み生徒数が減少したために、県立高等学校の再編整備が進められています。茨城県は、県立高校再編整備計画に基づき2005年度以降、これまでに高萩工業高校、大宮工業高校、江戸崎西高校、大子第二高校の4校が閉鎖されました。
今年3月に閉校された高萩工業高(高萩市)、大宮工業高(常陸大宮市)の2校の跡地については、県や地元市町村での利用希望がなく、民間へ売却する方向性になっています。
県立高校の跡地は、まず県が別の施設などに利用できないか検討します。県の利用が考えられない場合は、地元の市町村に利用計画の有無を確認することになっています。県が計画を適当と判断すれば市町村に跡地を売却し、県が利用せず市町村にも計画がない場合、県は一般競争入札で民間に売却先を公募することになります。
高萩市の担当者は「財政的な問題もあり、利用計画も特にない」と地元紙に語っており、常陸大宮市の担当者も「今のところ利用予定はないので計画も提出していない」と話しています。
井手よしひろ県議は、6月7日高萩工業高校跡地を実際に訪ね、現状を調査しました。運動場や玄関前の庭には雑草が伸び始まっていましたが、校舎自体は今でも授業が行われているような雰囲気でした。体育館は、現状でも公開されており、地元の方が運動を楽しまれていました。
一方、大子二高跡地は東京理科大の研修施設として使用される予定が決まっています。大子の恵まれた自然と実験室や音楽室、運動場などが整う旧高校施設は学生のゼミ、スポーツ合宿などの場にふさわしいと東京理科大が活用を決めました。過疎化に悩む大子町は「若い学生が来れば、地域が活気づく」として、旧校舎敷地を県から買い取り、大学側に無償貸与します。東京理科大学は、早ければ09年春からの利用を目指しています。
また、稲敷市は07年3月に閉鎖された江戸崎西高跡地を市役所新庁舎の移転先とする方針で、今年4月に土地払い下げ要望書を県に提出しました。新庁舎を閉校跡地に建設する方針の稲敷市は、05年の4町村合併後、江戸崎、新利根、桜川、東の4庁舎に市役所機能が分散しており、新庁舎建設で、老朽化した現庁舎の改修費、庁舎間の移動などにかかる経費が年間約1億8000万円も削減できると試算しています。江戸崎西高跡地は約5万平方メートルと広大な敷地を確保でき、計画中の圏央道ICに近く、交通事情が良いことなどを理由に、新市庁舎の用地として注目されました。
県の再編計画では、11年度までに八郷、北茨城、岩井西、那珂湊二、上郷、境西、山方商の7校が閉鎖される予定で、跡地利用を巡っての議論が益々活発化しそうです。