出産費の一時金、支払い不要に…政府方針
読売新聞(2008/11/3)
政府・与党は11月2日、少子化対策の一環として、病院に分娩(ぶんべん)費用を直接支払わずに、公的負担で出産できる制度を来年度から導入する方針を固めた。
若い夫婦などが費用を心配せず、出産しやすい環境を整えるのが目的だ。
また、出産費用を病院に支払わない親が増えていることから、医療機関の未収金対策としての狙いもある。政府は来年の通常国会に関連法案を提出する方針で、来年夏以降の実施を目指す。
出産に関する現行制度は、親がいったん医療機関に費用を支払い、出産後に健康保険組合など公的医療保険から出産育児一時金(現在は35万円)が親に支給される仕組みとなっている。新制度では、健康保険組合などが出産育児一時金を直接、医療機関に支払うように改める。
さらに、出産費用が比較的高額になっている東京都などの都市部では、出産育児一時金と実際の費用との差額負担が生じているため、都道府県ごとに標準的な金額を定めて差額分を公費で上乗せ支給する。
ホテル並みの豪華な食事などを提供する病院もあるが、そうした費用は分娩費用として計算しない。政府は各都道府県の標準的な分娩費用を調査したうえで、一時金に上乗せする額を今後、詰める方針だ。上乗せ分など、来年度予算案に約500億円を計上する方向で調整している。
政府・与党がまとめた追加景気対策では、妊婦や胎児の健康状態をチェックする「妊婦健診」の無料化方針も明記された。妊婦健診は現在、5回分が無料となっているが、出産までに必要な14回分を無料化する方針。
政府・与党は、こうした施策で若い夫婦の金銭的な負担が軽減されるほか、医療機関の未収金が減るなどの効果があると見ている。
出産費用の公費負担制度を来年からスタート:公明党が主張し舛添大臣が言明
公明党の浜四津敏子代表代行は、10月22日、厚生労働省を訪れ、舛添要一厚労相に対し、妊婦健診の無料化と出産費用の病院への直接支払いの推進などについて申し入れを行いました。これには松あきら女性委員長(参院議員)、古屋範子女性局長、桝屋敬悟厚労部会長、高木美智代の各衆院議員、鰐淵洋子参院議員も同席しました。
この申し入れの中で、舛添厚労相は、妊婦検診14回分の完全無料化を経済対策の一環とし行うことを表明しました。
また、浜四津代行は、出産後に健康保険から支給される出産育児一時金について、出産費用を事前に準備して病院窓口で支払わなくても済むように支払い方式の改善を要請。さらに、出産育児一時金を増額し、出産費用の無料化へ取り組むよう強く要望しました。
舛添厚労相は『子どもを産むことについて、1円も(子育て世帯が)負担しないようにしたい』と答え、今回の直接負担の実施への導火線となりました。