昨年12月、経済産業省と環境省による小型家電からのレアメタル回収の取り組みが具体的に始まりました。12月2日、経産省・環境省が共同で開催する「使用済小型家電からのレアメタルの回収及び適正処理に関する研究会」の第1回会合が開かれ、リサイクルの現状や課題、回収のモデル事業などについて議論が交わされました。
この研究会は、携帯電話機や携帯型音楽プレーヤー、DVDレコーダー、デジタル・カメラなどの小型家電の使用済み製品からレアメタルを回収・リサイクルするための技術的課題や制度の運用方法など検討することを目的に設置されました。茨城県の日立市、秋田県大館市、福岡県などで既にスタートしている使用済み小型家電品の回収から分別等の中間処置、製錬までを実際に行うモデル事業を展開するとともに、様々な技術的な課題にも小委員会を設置して検討を深めることにしています。小委員会は、「レアメタルワーキンググループ」と、リサイクル時の有害性などを評価する「環境管理ワーキンググループ」の二つのワーキング・グループを設置して検討を進めることになりました。09年3月まで活動し、モデル事業の最終報告と今後の方針整理を行う予定です。
一方、全国の3つのモデル事業の一つに選定された茨城県と日立市は、使用済みの携帯電話やデジタルカメラ、携帯音楽プレーヤー、携帯ゲーム機など小型家電のボックスによる回収を、2月1日から始めました。
県と市によると、昨年6月に市清掃センターで粗大ごみを調べたところ、ACアダプター312台、携帯電話262台、卓上計算機223台などが回収されていました。こうした使用済みの小型家電には、埋蔵量の少ないレアメタルが多く使用されており、これらを回収して再利用することは、情報技術(IT)やハイテク産業の振興には大変重要な取り組みと考えられています。しかし、回収から分別、製錬に至るまでのシステムは確立されておらず、もともとゴミの分別回収に市民の協力が得られており、日鉱金属など金属製錬技術を有する地元企業も立地している日立市に、モデル事業展開の白羽の矢が立ちました。
県と日立市のレアメタル回収の取り組みのポイントは、使用済家電、携帯電話等からのレアメタルの抽出技術の確立と小型プラント開発によるレアメタルの地域内リサイクルビジネスシステムの構築という2点です。使用済製品を、日立市を中心に自治体により回収し、これを、小型の分散型プラントに持ち込みまして、中間処理をします。さらにレアメタル、レアアースについて濃縮し、付加価値の高い中間生成物を回収業者に販売するリサイクルビジネスを確立することを目的しています。
回収に当たっては、日立市ではかなり市民みずからが細かく分別するシステムが既にできあがっています。小型家電等は「粗大ごみ(小)」とい分類(粗大ゴミに大中小の3分類があります)で回収されており、この中に使用済み家電を回収することにします。さらに、清掃センターへの自己搬入(市民みずからが持参しての回収)のシステムを明確にします。その上で、ボックス回収として、市役所やその支所、コミュニティセンター、将来的には小中学校、あるいは家電販売店となどに回収ボックスを設置することにしています。
今年度は2月1日より、市役所とその支所6カ所にボックスを設置し使用済み家電をシルバー人材センター等を活用して集めます。集めた使用済み家電は手解体を経て、破砕・選別等の中間処理を行います。、また、中間処理の後、レアメタル含有量などの分析調査が行う予定です。
参考:小型家電は「レアメタルの宝の山」(2009/4/6)
参考:レアメタル大図鑑(独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構のHPより)