5月11日、井手よしひろ県議ら県議会保健福祉委員会の一行は、日立市の日立製作所日立総合病院(以下、日製日立病院と略称)を訪ね、岡裕爾院長より病院の概要を聴取すると共に、周産期医療の問題、地域救命救急センターの設置問題、新型インフルエンザ対策など直面する課題について意見交換を行いました。さらに、5月中旬から稼働する新型のリニアック装置、発熱外来や入院病棟などを視察しました。
日製日立病院は、(株)日立製作所の企業立病院として「工場衛生と民衆治療のため」という理念のもとに昭和13年1月に開院し、茨城県北部地区の中核病院として市民の健康を守ってきました。本年は開院71周年を迎えます。ちなみに、日立市は市政70周年を今年迎えましたので、日立市の歴史より一年前の創設となります。
日製日立病院は、高度専門医療としての急性期疾患治療、がん専門治療、救命救急医療(主として虚血性心疾患・脳血管疾患・消化器疾患)、周産期センター(09年5月現在休止中)、地域災害医療センターなどの高機能医療施設をめざしています。一般病床559床(内・地域がんセンター100床)、感染症4床。医師111人、看護師430人の陣容となっています。
日立市を中心とする県北地域の拠点病院ですが、大変厳しい経営を強いられています。2008年3月決算では、一月当たり約5300万円の赤字が発生しており、年間の損益は6億4000万円程度の損失となる見込みです。この数字は、日立製作所本体の8000億円近い赤字決算と相まって、救命救急センター整備などに深刻な影を落としています。
3月の県議会で、今年秋に水戸赤十字病院から産婦人科医師1名が派遣される見込みという、知事答弁があったが、詳細はまだ確定しておらず、今後具体的な話しを水戸日赤病院と進めていく。ともかく、秋までには複数の医師を確保して産婦人科の分娩を再開したい。現在、20名を超える助産師を確保して、指導的立場の医師が確保できれば、院内助産システムを立ち上げて、通常分娩の受け入れを再開する。
また、ハイリスクの分娩については、日製日立病院をオープン病院として、地元の産科医が施設やスタッフを活用することが出来るように整備したい。
放射線治療には、直線加速器(リニアック)という装置を使用します。今回、日製日立病院では、米国バリアン社製クリナックiXという装置を導入します。高い精度で放射線を制御するために、たくさんのコンピュータシステムが連結して、安全で確実な放射線治療が可能になります。IMRT照射と言われる、がん細胞だけに放射線を集中して照射することも可能となります。
5月中旬から新新「放射線治療棟」による、放射線治療がスタートします。
日製日立病院への県の充分な支援を、井手県議が要請
一連の説明聴取の後、保健福祉委員会メンバーとの意見交換が行われました。井手よしひろ県議は、「日製日立病院は本来公的な病院が果たさなくてはならない機能を、一民間病院が担っている病院であり、県は充分な支援をすることが必要」と強調しました。その上で、産婦人科での分娩再開に向けての医師確保の現状について、県医療対策課長に質しました。さらに、地域救命救急センター開設に対して、国の平成21年度補正予算に盛り込まれた「医療施設耐震化事業(災害拠点病院等の耐震化整備)」や「地域医療再生基金」を活用し、積極的な支援を行うよう提案しました。