5月12日、井手よしひろ県議ら公明党茨城県議会議員会は、県内の新たな農業の取り組みを調査するため、土浦市内のJFEライフ土浦グリーンハウスを視察しました。
JFEライフは、鉄鋼大手のJFEスチールの関連会社。旧川崎製鉄が工場内の遊休地を活用して、1984年にカウワレダイコンや大葉を生産開始したのが、その淵源ですが、95年の阪神大震災で深刻な影響受け生産を断念した経緯があります。その後、1999年に作物をレタスに変更し、兵庫県に「植物工場」三田グリーンハウスを稼働させました。この三田グリーンハウスが採算ラインに乗ったため、2004年に首都圏進出のため、土浦グリーンハウスを建設しました。
「植物工場」とは、施設の中の光や温度などを人工的に制御することで、季節や気象条件に関係なく、作物を一年中、生産できるシステムです。そもそも、茨城県は日本における「植物工場」発祥の地といっても過言ではありません。1985年のつくば科学博でトマトの生産工場が展示され、多くの国民に近未来的な農業の方向性を示唆しました。
04年に稼働した土浦グリーンハウスは、100メートル掛ける50メートルの巨大な鉄骨製の怨嫉棟でスタート。栽培面積は5400平方メートルで、月間10~12万パックの生産の能力がありました。翌05年には、日経優秀製品・サービス賞の最優秀を受賞する高い評価を得ました。07年8月に2期工場を増設、今年(09年)4月には3期工場を稼働させ、生産能力は3倍になりました。
事務所で工場の説明を伺い、工場内を実際に視察調査しました。白衣に帽子、長靴に身を固め、手のひらと靴を消毒。エアシャワーでホコリを吹き飛ばして、工場内に入ります。中に入ると、みずみずしいレタスの香りと、一面の鮮やかなグリーンの広がりに驚かされました。
「植物工場」には太陽光と電灯の両方を使う太陽光併用型と、電灯の光だけで育てる完全制御型の2種類があります。この土浦グリーンハウスは、太陽光併用型です。外観は普通の温室と変わりませんが、センサーで生育環境の変化を感知し、日差しが強ければ天井に遮光カーテンがかかり、日照量が少ないと電灯が自動的に点灯します。温度が下がればエアコン(または重油ボイラー)が稼働し温度を上げ、反対に温度が上がれば、巨大な空調ファンが回り出し、水の気化熱を利用した省エネ冷房システム「クールセル」を稼働します。肥料や二酸化炭素の量などもコンピューターが管理するハイテク施設となっています。
作物は土を一切使わず、肥料を溶かした水で育てています(水耕栽培)。種子から約45日で収穫が出来、年間を通じ栽培できるので、28毛作が可能となっています。水耕液のスチロールの板を浮かべ、その板にレタスが植えられていますので、まさに流れ作業で野菜が栽培されていきます。
工場では栽培から収穫、包装・出荷まで一貫した作業が行われています。
工場内を視察した後に行われた質疑応答、意見交換では、「植物工場」の可能性や課題について活発な議論が交わされました。
その中で、一番の課題はコスト。特に、光源として使う電灯などの電気代や温度調整のための燃料費であるとの説明がありました。特に、昨年のような燃料コストの高騰は経営に致命的な影響を与えるとの指摘がありました。
さらに、「植物工場」は建築基準法では「建物」の扱いとなり、農地には建てられません。一方で工業用地に作ろうとすると、自治体によっては業種は「農業」の扱いになって誘致の助成が受けられない場合が多いなど、行政との擦り合わせがうまくいっていません。また、建築基準法で耐震強度などオーバースペックの面もみられ、消防法の適用も受けるため、様々な余分な経費もかかっているとの説明がありました。
参考:無農薬の安心野菜「エコ作」のホームページ
Grickoさん、いつも貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。
茨城の立地の便を活かした農業振興にも頑張ってまいります。
コレ、さきほどTBSで取りあげられていましたね。
農業立県?茨城の可能性を強く感じました。