2月2日、井手よしひろ県議とたかさき進県議(公明党:水戸選出)は、水戸市桜川の「ホテルレイクビュー水戸」を訪れ、直近の収支状況などを聴き取り調査しました。
レイクビュー水戸は、平成13年、水戸駅南口に建設された7階建てのシティホテル。このホテルは、公立学校共済組合が運営する宿泊施設です。茨城県は、公立学校教職員の福利厚生の一環として、建設費、税金、火災保険料など毎年、2億5000万円を25年間にわたって支払う契約を結んでいます。県の負担総額は、総額で約63億円に達します。その内訳は、建物の建設費用に係る償還元金が39億8,000万円、償還利息が14億6,0000万円、償還元金に係る消費税が2億円,その他公租公課として,不動産取得税が6,000万円、固定資産税が5億1,000万円,都市計画税が7,000万円、そして火災保険料が2,000万円となっています。
平成18年3月16日、井手県議は予算決算特別委員会で、当時の川俣勝慶教育長にレイクビュー水戸について、多額の費用をなぜ県が負担しなくてはいけないのか、県と共済組合との契約を議会に諮らなかったのは問題がなかったのかなどを質問しました。
今回、予算決算特別委員会での議論から4年目を迎えるに当たり、再度現状を検証するためにの現地調査を行いました。
ヒアリングの結果、収支状況は平成20年度1億3184万円の黒字を計上し、全国の公立学校共済組合が運営する施設の中でも、トップクラスの収益を上げているとの説明を受けました。ただし、売上高は平成14年度の16億7981万円をピークに減少しており、20年度は13億4544万円で20%減となっています。20年度の利益1億3184万円も、県が負担している2億5000万円を差し引くと、1億2000万円以上の損失となります。
県が多額の費用を負担しているわけですから、レイクビュー水戸は高い公益性を発揮することが求められますが、組合員(公立学校の教職員)利用率は全体の22.7%(20年度)であり、建設当初より8%近く下落しています。税金を使って、費用を負担する意義を県民に納得していただけるか、甚だ疑問の状況が続いています。
井手県議らは、県民の利用について利用料減免等を検討するよう要望すすと共に、障害者の雇用などを積極的に行い、公益性を発揮するよう提案しました。
◯井手委員

◯川俣教育長
お答えいたします。
県の負担総額ですが、25年間で、総額で約63億円となっておりまして、その内訳としましては、建物の建設費用に係る償還元金が39億8、000万円、償還利息が14億6、000万円、償還元金に係る消費税が2億円、その他公租公課として、不動産取得税が6、000万円、固定資産税が5億1、000万円、都市計画税が7、000万円、そして火災保険料が2、000万円となっております。
なお、単年度の負担額についてでございますが、平成17年度を見ますと、総額で約2億4、800万円となっておりまして、今後も同程度の金額で推移していくという見込みでございます。
◯井手委員
私は、この施設、建設費とその利息分、またそれにかかわる消費税等について、県が支払うことにつきましては理解をさせていただきたいと思います。
しかし、建物を県がお金を出して建てているにもかかわらず、その不動産の取得税や固定資産税、都市計画税などの公租公課や営業しているホテルの火災保険料を県が負担しなくてはならないのか、その金額が6億6、000万円余りという高額になることからも、余りよく理解できないわけでございます。この点について、わかりやすく御説明をいただきたいと思います。
また、県と共済組合が結んだ契約書、この第6条によりますと、25年間の償還が完了いたしますと、建物の所有権が県に移ることになっています。県は、共済組合に対して無償でこの建物を貸与すると定められています。こうした条項は、一方的に県にとって不利な条項ではないかと考えております。教育長の御所見をお伺いしたいと思います。
さらに、こうした重要事項の契約、この契約書第6条のことを申し上げております。議会への報告や同意なしに締結をされている事実でございます。この事実に関しまして、私は、議会人として非常に違和感を感じております。あわせてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
◯川俣教育長
質問にお答えする前に、今回のレイクビュー水戸の整備方式でございますけれども、投資不動産方式ということをとっております。これについて簡単に説明させていただきますと、従来、共済組合では、自前で土地も建物も整備すると、そして経営をしてきたという状況にありましたけれども、経営がうまくいかなくなってきたということで、端的に言いますと、地方公共団体、県の支援を受けようということで、建物にかかるものについては県で負担してもらいたいということが大ざっぱに言って投資不動産方式でございます。県もそういう方式でやるという方針で来たわけでございまして、その際に、では、償還期間中についてどうするかということでございますが、基本的にそれはちょっと疑問があるのではないかという考えでございますけれども、県としましては、共済組合の事業について福利厚生、あるいは教育行政の推進のために応援するという立場から、それについても県が負担していいのではないかという考えがありましたし、また、投資不動産方式というのをとっておりますほかの県も同様にそれを負担しているということから、県で公租公課とか火災保険料、それを負担するという契約を結んだものでございます。
次に、無償貸与についてどうかという御疑問があるということでございますけれども、今、説明しました投資不動産方式の中に、既に建物ができた場合には、償還が終わった後に県に所有権移転しますけれども、しかし、それをすぐ共済組合に無償で貸与するか譲渡するか、どちらかであるということになっておりますので、県では譲渡ではなくて、貸与という方式をとったものでございます。御理解をいただければと存じます。
それから、契約について議会に話がなかったということでございますが、契約の前提になります債務負担行為につきまして、いろいろな中身御承知のとおり、建設資金とか、それからそれに伴った公租公課とか、火災保険料とか、その合計額について、将来県が負担するということを議会で御承認いただきましたので、実は、その内容で契約をしたということで、御指摘のとおり議会に説明をしませんでした。非常に不適切だったと考えております。
したがいまして、重要な契約等につきましては、議会において十分説明して、御理解していただくようにしていきたいというふうに考えております。
◯井手委員
確かに、投資不動産方式というのは、茨城県以外でも、私どもが調べた範囲では、千葉県と三重県で同じような形でホテルをつくっている。特に千葉県の例は、茨城県よりも数段豪華なホテルをつくっているようでございますので、茨城だけの特例な、特別な契約ということではないというふうに理解をいたしますけれども。やはり問題は、次だと思うんですね。ホテルレイクビュー水戸が開業以来5年間を経て、実は利用者が減少し続けているということが今回の外部監査の報告の中で浮き彫りになっております。この利用状況と収支のバランスがどのようになっているかをお伺いをしたいと思います。
また、今後25年の償還期間中に収支が悪化して、大規模な改修や事業の見直しが必要になったりしないように、県としても何らかの支援を行っていく必要があると思いますけれども、教育長の御所見をお伺いしたいと思います。
◯川俣教育長
まず最初の方の質問の利用状況と収支状況でございますけれども、レイクビュー水戸、場所的には非常にいいところにあるんですけれども、最近、利用者が減少してきておるというのが実情でございまして、それに伴いまして、収支も、平成13年度から開設したわけですが、従来プラスでございましたけれども、そのプラスの幅が小さくなってきているという状況にございまして、2番目の御質問のありました収支状況が悪化していって、今後、大規模改修する等の必要が生じたときに、それこそ資金的に行き詰まらないように経営状況をしっかりやるようにという御指摘かと思いますけれども、そういうことで、レイクビュー水戸本体も一生懸命頑張っておりまして、当然、学校とか企業、それからいろいろな方面への売り込みということをやっております。
なお、県としましても、当然応援すべきだというお話かと思いますが、当然ながら、レイクビュー水戸が長期にわたって安定的な経営ができるようにということで、今のところは、行政情報ネットワークなどを利用しまして、イベント等の広報活動などもやっておりますけれども、今後もさらに、教育関係の団体等のいろいろな発行する冊子等がございますので、それを活用して、そこに載せていくというようなことも考えていきたいと思いますし、また、教育行政にかかわるいろいろな会議がありますので、それも積極的にあそこを利用するというふうにして支援を積極的にやっていきたいと考えておるところでございます。
◯井手委員
川俣教育長におかれましては、詳細な御答弁本当にありがとうございます。
このホテルレイクビュー水戸の債務負担行為が議題となったのは平成9年9月の議会でございました。当時は、まだ川俣教育長は教育長として在任されていない時期でございまして、もしもこの時期に川俣教育長がこの案件を計画されたならば、もう少し違うスキームが考えられたのかなというふうに理解をするところもございます。
この平成9年9月の文教治安委員会では、実は、今回鬼籍に入られました鬼沢委員が次のような御心配をされておりました。宿泊施設、今度、現在のサンレイクが老朽化したために建設をするということでございますが、学校の先生がだんだん減っていく中で、45億円という金、あるいは用地代を含めますと80億円もかかるということでございます。今後の維持管理は大変なことになると思いますが云々ということで、今となれば、たまたまこの時期にこういう一つのことが表面化してきたわけでございます。
いずれにせよ、行政はその継続性が重要視されますので、10年、20年先にも、このレイクビュー水戸が多くの県民に、そして教職員の方に喜んで使っていただけるように、最大限の御努力をお願いしたいと要望いたします。