小学6年生と中学3年生を対象にした全国学力・学習状況調査(以下、全国学力テストと略称)の参加校が、2月末現在の文部科学省の調査で、7割を超えことがわかりました。
全国学力テストは、民主党政権で全員参加から抽出方式に切り替えられ、さらに抽出率が文科省が示した4割から、鳩山政権の事業仕分けで3割に圧縮された経緯があります。
茨城県の状況は、小中学校813校中、抽出による実施校が250校(抽出率は30.5%)。抽出以外の小中学校563校中、希望実施校が526校で、希望実施率は93.4%に達しました。不参加校は土浦市と城里町の小中学校37校です。
県別に参加率を見てみると、秋田、石川、和歌山、山口、高知、福岡、大分、宮崎、佐賀、長崎、鹿児島の11県が全校が参加します。全国平均の参加率は73.2%です。
一方、神奈川29.9%、群馬38.8%、埼玉43.6%、千葉50.2%、栃木58.6%、東京62.2%など茨城県を除く首都圏都県の実施率の低さが際だっています。
鳩山政権は、自主的に全国学力テストに参加した学校がこれほど多くなったことを、どのようにに受け止めているのでしょうか。明らかに、この政策は教育の現場から“ノー”を突きつけられてといっても良いのではないでしょうか。
全国学力テストは、学力の低下が深刻化したため、平成19年から復活されたものです。4月20日に4回目の全国学力テストが実施されます。全員参加により、成績上位の自治体や学校に学ぼうという機運が醸成され、連続して好成績を収めた秋田県の教育委員会には視察が殺到しました。
民主党が全国学力テストを縮小した理由は、経費削減はもとより、その支持団体である日教組(日本教職員組合)の影響が色濃いといわれています。
山梨県教組出身の輿石東民主党参院議員会長は、今年2月、地元で行った講演で「そのうち全部やめるという話になる」と、廃止や再縮小をほのめかす私見を述べました(産経新聞の報道)。鳩山政権では全国学力テストの廃止のほかにも、教員免許更新制廃止などの日教組の主張に沿った政権運営が行われる危惧が付きまといます。
全国学力テストは費用がかかりすぎるなどの批判があることは事実です。しかし、各市町村や学校が、自らの教育のレベルを認識するまたとない機会であることは否定できません。適正な競争のない教育の場は、メリハリのない教育環境になってしまわないでしょうか。全国学力テストは、子どもたちに順位をつける試験ではなく、自治体や学校、教員などの指導力の物差しとして活用すべきです。
自主参加校には文科省から問題用紙が無料配布されますが、集めて採点や分析は行いません。当然、全国集計にも反映されません。自主参加校の採点や分析は、地方自治体にとって、新たな負担となっています。一方で財政難などを理由に参加できない自治体があることは、非常に残念なことです。
教育の成果や課題を全国学力テストなどでしっかり把握し、地域や保護者らに情報を分かりやすく公開することが求められています。