井手よしひろ県議らは、8月1日、2日の両日後援会の研修会を実施しました。行き先は、福島県会津の大内宿。いわゆる1000円高速を利用して、行きは常磐道の日立南太田ICから磐越道会津若松ICまでの185kmを、通常料金4350円のところ1000円で利用することが出来ました。この利用者にとって、ありがたい制度も風前の灯火となっています。
民主党は政権構想(マニフェスト)の中で「高速道路無料化」を約束しました。しかし、この高速道路無料化は、さまざまな曲折を経てごく一部の路線のみの限定されたものになっています。6月28日(月)から無料化になったのは、首都高と阪神高速を除く高速道路の約18%、1626キロメートルの区間です。茨城県では、東水戸有料道路の一部路線のみです。
その他の区間についてはいったいどうなっているのでしょう。
民主党は選挙前の約束とは違い、高速道路を無料化するための財源を捻出することはできませんでした。このため、その他の区間は見直すということで、新たに6月から高速道路全日上限2,000円が始まる予定でした。土日、祝日の上限1,000円をやめて、ETCのない車も平等に上限価格を2,000円とする案でした。普通車2,000円、軽自動車1,000円、大型車は5,000円など、車種ごとに一定の走行距離を超えると高速道路料金が上がらない上限料金制です。
ところがこれが、実際にシミュレーションしてみるとほとんどの利用者にとってメリットのある案ではなかったことが分かりました。2,000円以上の距離を走る利用者はそれほど多くはなかったのです。
選挙前ということもあり、国民を裏切るような「上限2,000円案」は民主党内からも異論が続出しました。その前にもガソリンの暫定税率を廃止すると言っておきながら、実質は変わらない別の税金に置き換えるなど、ドライバーの気持ちを逆なでするようなことをしていましたから、選挙前にこれ以上無理を通すことはできない、と当時の小沢幹事長が判断したと言われていますが、前原国交相は、突然6月の導入を断念すると発表しました。
現在、高速道路は一部の区間で無料化実験を継続しているものの、ほとんどの区間は以前と同じ土日、休日上限1,000円で運用されています。上限2,000円の案は完全に撤回されたのかというと、そういうわけでもなく、9月から実施とか、いろいろな噂が飛び交っている状態です。
前原国交相は、一部報道で上限2,000円の新たな高速道路料金が、関連法案の審議を待たずに導入されると報じられたことについて、7月16日、閣議後の記者会見で否定し、「法案を提出し議論をした上でまとめていく」と語りました。
しかし、新料金制度の前提となる関連法案は、選挙前の本会議に提出されましたが国土交通委員会での審議がまったく進まず、審議未了のまま継続扱いとなっています。9月から上限2,000円になるのか、それともこのままでいくのか、利用者に何の説明もないことは、無責任きわまりないと言えます。
6月28日に高速道路の一部で無料化社会実験が開始されていますが、これに伴いトラブルが増えています。
無料化の区間でも料金所のETCは、車の利用動向を調査するために働いているからです。このため、TTCレーンをETCを搭載していない車が通行しようとするとバーが開かないなどのトラブルが起きます。ETCを搭載していても「無料だから必要ないだろう」と、カードを挿入しないまま通過しようとしてもバーは開きません。道路会社は料金所の通行方法として、通行料金が無料となる利用でも、今までどおりETC車載器にETCカードを挿入して料金所を通過するよう訴えています。
またETC未搭載車は一般レーンを利用し、安全確認のため必ず一旦停止する必要があります。無料化の区間では正しい通行で事故のないように気をつける必要があります。
先行きの見えない高速道路行政。こんな状態では、国民生活の安全運転は、出来るはずがありません。