日立市は今年4月から、妊娠しても流産・死産を繰り返し、出産に至らない「不育症」の治療費の助成する事業をスタートとさせます。
公明党の添田絹代市議が、昨年3月議会でしに提案した内容が実現したもので、来年度当初予算案に約250万円を盛り込みました。
全国でも2番目の取り組みで、県内では初めて事業化されました。
不育症への治療費助成は、少子化対策の一環で、不育症に悩む夫婦の経済的、精神的負担を軽くするのが目的です。一般的に二回連続で流産・死産すると、不育症と診断されます。日立市では約50人が対象と見込まれています。
助成額は一人当たり年間一回の治療・検査につき、上限は5万円。1年間以上、夫婦のいずれかが市内在住であることが条件で、治療が終わった時点で申請することとしています。
厚生労働省の調べでは、妊娠経験がある人のうち、流産経験者は約4割。このうち2回以上流産し、不育症と見られる人は約6%、年間4万人程度の人が不育症とされています。
不育症の原因はさまざま挙げられていますが、専門家は適正な検査と治療を施せば「85%は無事、出産にたどり着ける」と説明しています。ただ問題は、不妊症治療と違い、不育症治療の多くは保険の適用外になっていることです。
こうした壁に直面して出産を断念せざるを得ない実態を受け止め、他党に先駆けて国政の場で改善に動き出したのが公明党です。
2009年11月の参院予算委員会で荒木清寛議員は、不育症患者からの切実な訴えをもとに不育症治療への保険適用を主張。その後も公明党は女性委員会を中心に、不育症への公的助成の必要性を相次ぎ訴えています。
公明党の指摘に対し、民主党政権は昨年、一定の治療方法について有効性や安全性が確認できれば、保険適用を進める意向を表明しました。しかし、1年を過ぎた現段階でも事態は前進しなかったため、先月の参院予算委で荒木氏が再度、早期適用を強調。厚労相は薬事承認が得られ次第、保険適用をする方針を示しました。
また、公明党では地方議会を通して、不育症治療への助成を訴えてきました。日立市の事業化もこうした地道な活動が実を結んだものです。