6月1日、公明党の山口那津男代表は、東日本大震災以後初めての党首討論で、菅直人首相(民主党代表)と論戦を行い、大震災、原発事故の対応で被災者目線を欠き、スピード感-に乏しい菅政権を厳しく糾弾し、被災者の思いに応えて復旧・復興を急ぐため、首相の退陣を求めました。
公明党代表山口那津男 現在、避難者は10万2271人。(東日本大震災から)2カ月半余りがたち、梅雨を迎える時期に、これだけ(多く)の避難者がいる。仮設住宅は、首相が約束した5月末までの3万戸(建設)がいまだに達成されていない。がれきの処理・撤去も(進ちょく率は)15%にすぎない。遅々として現場で復旧すら進んでいない現状だ。
われわれは発災当初、現場のニーズをつかんで、さまざまなことを官邸に要請した。しかし、(政府の)対応があまりにも鈍い。
(3月時点の)与野党幹事長会談で、直ちに震災担当相を任命すべきと提案し、復興担当相、復興庁の設置も正式に政府に申し入れた。もうこんなに時間がたってしまった。いったい何をやっているのか。本気でわれわれに協力を求めていく気迫が感じられない。今ごろ中身の乏しい「復興基本法案」を出しても、やる気を疑う。
復興特区を設けるべきとも提案したが、政府の復興の構想は、6月末の構想会議の答申を待って、つくろうという考え方だ。あまりにも遅すぎる。現場の切迫感が乏しく、感じ取っていない。やる気があるのか。
菅直人首相 これから必要なもの、使うものを決めていくのか、その議論が今始まって動き出している。
山口 (衆院東日本大震災復興)特別委員会での首相の答弁を聞いていると、原発事故の収束ばかりに関心がいって、ほかのことが他人事のように聞こえた。その証拠に現地の(対策本部の)責任者が5月19日から空席のままではないか。
原発事故の早期収束、着実な損害賠償、電力の安定供給は、いずれも国民にとって等しく重要だ。首相は重要なことが抜けている。
冬柴(鉄三)前代議士(公明党常任顧問)が弁護士として福島県郡山市で受けた法律相談の内容を集約すると、家や家畜、仕事を失い、借金や病気を抱えている。行く所がなく避難所を転々として、多い人では6カ所も動かざるを得なくなっている。その間、何の支援も政府からはない。東京電力から賠償金の仮払い金100万円をもらったが、2人の所帯も10人の大所帯も一律同じ額で不公平だ。こういう現実を首相は、いかに感じているのか。
また、被災者から見れば、政府も東電も互いに責任逃ればかりで、被災者の目線に立って早く助けようという気迫が感じられない。避難や立ち入り禁止の指示や命令をしたのは、政府ではないか。だから政府が責任を負う。東電の賠償を期待するのではなく、政府が前面に出て早く賠償をやるべきではないか。なぜ、そういう制度を早くつくれないのか。
首相 一義的な責任が東電にあるからといって、国に責任がないとは全く考えていない。必要な費用については(今年度第)2次補正(予算)を含めて対応していきたい。
山口 被災者の思いに応えて、力を結集し、スピード感を増すためには、菅首相が辞めるしかない。