6月6日、県議会6月定例議会が開会し、知事より震災対策を中心とする補正予算案が提出されました。
その中には、県の三の丸庁舎(旧県庁舎:水戸市三の丸)の4階部を撤去し、耐震補強をするための予算1億2000万円が計上されました。三の丸庁舎は、東日本大震災で4階部分の一部が破損しました。この4階部分は、昭和29年に増築され現在の外観となりました。2010年行った耐震診断では、4階の構造耐震指標(Is値)は0.04~0.16と基準も0.6を大幅に下回り、「耐震化は無理。撤去相当」と指摘されていました。今回の震災でも、外壁の脱落などの被害は4階以上に集中しています。また、庁舎中央部の塔屋は震災の影響で倒壊する恐れがあり、県管財課は「県庁の象徴的な構造物であり、長年親しまれているイメージを守りたい」と復元する方向で検討しています。解体して再建するか、鉄骨を再補強して復元するかの2案が検討されています。
今回、補正予算案に盛られた関係費用は4階部の解体費用と耐震補強の設計費。実際の解体や塔屋復元、耐震化などの工事費は9月以降に計上され、完成は来年の予定です。
(写真上:茨城県庁三の丸庁舎の全景、写真下:三の丸庁舎の象徴“塔屋”の現状)
三の丸庁舎駐車場に水戸市の臨時庁舎
一方、水戸市の高橋靖市長は、6月2日、東日本大震災の被害で水戸市役所本庁舎が使用不能となっている問題で、仮庁舎整備のために、三の丸庁舎の敷地を借用するよう橋本昌知事に要望書を提出しました。
要望書は、市役所機能を市内15カ所に分散させている現状について、「市民サービスはもとより、まちの復興に向けた施策の推進にも支障を来しており、早急な対応が求められている」と指摘。「緊急的な対策として、県三の丸庁舎敷地内に行政サービス部門を集約化する市役所プレハブ庁舎を整備し、市民の利便性の向上とともに、水戸のまちの復興に向けた中心市街地の人的活性化を図っていきたい」と記しています。その上で、三の丸庁舎の駐車場をその用地として借用したいとしています。
計画では、臨時庁舎はプレハブ3階建てで、市民課、福祉・税務部門、行政窓口サービスなどを入居させます。
要望を受け、橋本知事は「前向きに検討していく」と応えました。
(写真:水戸市役所臨時庁舎の建設予定地)