8月4日茨城県は、国の公正取引委員会から、県境土地改良事務所と県境工事事務所の歴代所長や担当課長計12人が談合に関わったとして、官製談合防止法に基づき改善措置命令を受けました。公取委が官製談合防止法に基づいて都道府県に改善措置を求めるのは、この案件が初めてです。官製談合防止法では、国や自治体などの職員が、(1)談合の明示的な指示、(2)受注者の指名、(3)予定価格などの漏洩などをしていた場合、公取委は官庁などに改善措置を要求できます。官庁などは調査結果と改善内容を公取委に通知しなければならず、関与した職員に故意・重過失があればその職員に損害賠償を求めることになります。
また、同じ案件で公取委は独禁法違反で古河市内などの63業者に排除措置命令、うち50業者に受注金額の4%相当の計2億9227万円の課徴金納付を命じました。
公取委の改善措置命令によると、県境土地改良事務所と県境工事事務所が、2007年6月1日以降の3年余りに発注した土木工事などの入札について、事務所所長や担当課長が談合に関わった官製談合が確認されました。
境土地改良事務所では、工務課長が遅くとも平成19年4月以降、特定土木一式工事の全てについて、境土地改良事務所の所長の承認
のもと、各工事の落札を予定する者を決定し、当該工事の入札前に、落札予定者についての意向を、茨城県建設業協会境支部の支部長に伝達していました。境支部の支部長は、自ら又は境支部の役員を通じて、当該工事の落札予定者として決定された者に対して、当該工事を受注すべき旨を伝達していました。
境工事事務所では、所長が特定の事業者からの要望を受け、境工事事務所発注の特定舗装工事のうち遅くとも平成19 年6月1日以降に入札が行われたものについて、当該工事の入札参加業者があらかじめ定められた順番のとおり受注できるようにするため、発注工事及び指名業者の選定に係る業務を担当する境工事事務所の道路管理課長及び道路整備課長に指示して、当該順番を考慮した発注工事及び指名業者の選定を行わせていました。
さらに公取委は、県西農林事務所管内の常総、筑西両地区でも県発注工事の入札でも、官製談合があったとみて、県に談合防止法に基づくものとは別に改善措置を要請しました。
橋本知事は同じく4日、「入札談合等の不正行為、とりわけ、官製談合は決してあってはならないものであり、長年、談合の排除のために様々な取組みを行ってきた本県として、このような行為があったことは、極めて遺憾であり、県民の皆様に深くお詫び申し上げます。今後は、外部委員による調査委員会を立ち上げ、事実関係の徹底した解明を行い、不正行為の防止に必要な改善策を講じてまいります。また、官製談合行為が二度と起こることがないよう、職員の綱紀保持及び遵法意識の徹底に努め、県民の皆様の信頼を一日でも早く回復できるよう全力で取り組んでまいります」と、コメントを発しました。
知事のコメントにあったように、茨城県では今月中に第三者機関を設置し、事実関係の検証を行うとともに、今後の改善策、関係した職員の処分や損害賠償などの請求を決定します。今年度中(来年3月末まで)には、改善措置の内容を公取委に報告する方針です。
尚、独禁法違反で排除命令を受けた企業に関しては、県が課徴金を課すことになります。その金額は、工事代金の15%と高額であり、指名停止措置などの罰則とともに、関係業者には大変厳しい対応となります。
8月5日、茨城県議会公明党は、議会に総務部、土木部、農林水産部の担当幹部を呼び、公取委の改善措置命令の内容説明を聴取するとともに、厳格な対応と再発防止を強く求めました。
参考:茨城県が発注する土木一式工事及び舗装工事の入札参加業者らに対する排除措置命令,課徴金納付命令等について(公正取引委員会:2011/8/4)