民間賃貸住宅の借り上げ制度について、茨城県内ではその柔軟な運用が求められています。
東日本大震災によって、住宅が全壊または半壊し、自宅に住み続けることができなくなった被災者には、一定期間民間の賃貸住宅を県(または市町村)が借り上げて、応急仮設住宅として活用できる制度があります。東北3県では災害発生直後から、この民間賃貸住宅の借り上げ制度がスタートしていました。
この制度を利用すると、震災や津波、原発事故によって避難した東北3県の被災者は、2年間を限度に、月6万円まで(家族の人数により加算あり)の民間賃貸住宅に国費で住むこととができます。(居住する地域によって家賃の限度額が変わります)
しかし、東北三県でいち早く導入されたこの制度は、同じ大規模な被災を受けた茨城県には適用されていませんでした。茨城県ならびに公明党は、茨城県の被災住民にも、民間賃貸住宅の借り上げ制度の適用を強く求めてきました。この要望が実り、8月1日から、茨城県内の被災住民にも、民間賃貸住宅の借り上げ住宅が認められるようになりました。
9月12日現在で、県内の16市町村がすでに制度を実施、10月1日より12市町村が、それ以降5市町村が実施するための具体的な準備を進めています。残り11市町村は検討中となっています。
参考:茨城県内市町村の民間賃貸住宅借り上げ制度について
現在、各市町村が導入をしている制度(導入しようとしている制度)には、大きな課題が2つあります。
その第一点は、7月末日までに、すでに民間の賃貸住宅を借りている被災者だけを対象とする制度であるということです。災害救助法を根拠法としている民間賃貸住宅の借り上げ制度ですので、震災や原子力発電所の影響など、災害が発生したその時点で住む居場所がない被災者を支援の対象としています。茨城県のように、全壊、または半壊の判断が下った住宅でも、現に解体する業者が見つからない、アパートを借りるにも資金がないなどの理由で、引き続き危険な住宅に住み続けている人が多い被災地を、想定した制度にはなっていないのです。
まして、8月1日から制度の適用を公表しながら、その対象者は7月末までに賃貸住宅を借りている人では、まさに後出しジャンケンです。
東北3県は、未だに避難所が開設されていることを理由に、借り上げ住宅の新規認定を続けています。茨城県は、5月いっぱいで避難所は全て閉鎖されましたので、この条件には適さないとの国の判断のようですが、どうしても納得できません。
茨城県では、全壊や半壊の住宅の解体撤去が、これから本格化してきます。県南地区などで多く発生している液状化被害住宅では、り災証明書の発行も終わっていないのが現状です。借り上げ住宅の申請期日を、最低でも12月一杯まで大幅に延長することを、主張します。
第二の問題は、7月までに民間住宅に移転している被災者の申請も、10月末までに締切る方針だということです。
繰り返しになりますが、茨城県内の多くの市町村では、制度のスタートが10月1日以降になります。わずか1ヶ月以下の周知期間で、この制度の利用を促すことができるのか、被災者の立場にたった制度の運営を強く求めるものです。
(写真は、潮来市日の出地区の液状化被害住宅)