黒い交際や利益供与を断つ、包囲網の構築で市民と企業を守る
全国の都道府県は今、暴力団排除条例によって暴力団との黒い交際を断ち、暴力団への利益供与を禁止する暴力団対策を 進めています。この暴力団排除条例が10月1日から東京都と沖縄県で施行されたことによって、全国で暴力団に対する包囲網ができあがりました。
暴力団の排除をめざす条例は、2009年7月に佐賀県が施行し、組事事務所の開設制限などを定めました。さらに09年10月には、福岡県が暴力団への利益供与を罰則付きで禁止する条例を成立させました。それ以降、他の都道府県でも暴力団排除条例の制定が進みました。茨城県でも、平成22年9月28日に「茨城県暴力団排除条例」が制定され、平成23年4月1日に施行されています。
暴力団の問題は、市民の日常生活と無関係ではありません。暴力団は飲食店などに「みかじめ料」(用心棒代的な名目の金品)を要求したり、民間人同士のトラブルにつけ込むケース(民事介入暴力)もあります。例えば、交通事故の示談などに介入し、暴力団の威力を使って事故の当事者を脅して不当な利益を得るなどの事例があります。
10年ほど前に「2割司法」という言葉が話題になりました。裁判や調停など司法の中で処理されるべきトラブルのうち、弁護士など法律実務家が扱うものは2割にすぎず、あとの8割は裏社会などの不透明な方法で処理されているとの意味です。
こうした傾向が暴力団の資金源となってきました。市民を食い物にする暴力団のメンバーとその仲間は全国で7万人を超え、暴力団対策法によって現在も22団体が指定暴力団とされています。
暴力団排除条例は各都道府県で、その特色がありますが、1.暴力団との交際、2.暴力団への利益供与、3.暴力団事務所への若者の立ち入り-などを禁止することが主な内容です。
このうち東京都の条例は、暴力団を排除することによって、都民の安全で平穏な生活を確保し、事業活動の健全な発展に寄与することを目的としています。
また都の条例は、暴力団から市民を守るため、暴力反対運動をする市民への妨害活動を禁止し、さらに、暴力団から危害
を加えられるおそれのある市民を、警察が保護できるよう規定しました。
さらに、事業者と暴力団の関係を絶つために、事業者が暴力団の威力を利用する目的で利益供与をすることを禁止。また、事業者が他の事業者と契約する場合、相手方が暴力団関係者でないことを確認し、暴力団関係者と判明した場合は催告なしに契約を解除できるとの特約を定めるよう求めています。
健全な市民生活からの暴力団の排除へ力を合わせる必要があります。
参考:茨城県暴力団排除条例とは
(2011/10/12更新:茨城新聞記事を引用)
組幹部葬儀への会場貸しで初の業者指導 県警
茨城新聞(2011/10/12)
暴力団関係者の葬儀と知りながら会場を貸したとして、県警は10月11日、県内の葬祭業者に対し、県暴力団排除条例に基づき指導を行った。4月1日施行された同条例に基づく事業者への指導は初めて。
県警組織犯罪対策課によると、葬祭業者は、住吉会系組幹部の男性の葬儀と知りながら会場使用の申し込みを受けたとされ、先月葬儀が行われた。
県警は葬儀の情報をつかみ、葬祭業者の代表者に指導書を手渡した。業者側は「断り切れなかった。反省している。2度とやらない」と話したという。
同条例は、事業者が暴力団の活動を助長する金品などの利益供与を禁じている。
同課は「条例の趣旨を理解し、暴力団との関係を断ってほしい」としている。