12月3日、公明党茨城県本部、千葉県本部共催の「放射能対策市町村議員情報交換会」を取手市のかたらいの郷で開催しました。
福島第1原発事故によって、東日本の広い範囲が汚染され、その中でも茨城県、千葉県の多くの県民が放射能の脅威にさらされています。当然のことですが、放射能の被害に県境も市町村界もありません。公明党茨城県本部と千葉県本部は、放射性物質対処特措法の中に位置づけられた汚染状況重点調査地域への指定を求める意向がある市町村の議員を中心に、両県の地方議員が一堂に会し情報・意見を交換する場として、本日の会合を企画しました。
井手よしひろ県議(茨城県本部代表代行)の開催の挨拶に引き続き、地元取手市の藤井信吾取手市長が挨拶。藤井市長は「放射性物質への対応は広域で行う必要がある。取手市にとって喫緊の課題は、下水処理場などの焼却灰の処理の問題。県内の市町が他県の業者に処分を依頼した焼却灰が返却された問題は、他人事ではない。議員の皆さんの力を借りながらこの難局を乗り越えていきたい」と語りました。
その後、「放射性物質汚染に対する国・県の対策について」と題して、国の放射性物質汚染対処特措法の運用について茨城県原子力安全対策課より説明がありました。その主なポイントは、
- 国は、この特措法を1月1日に施行し、放射能の除染費用を国が負担するとしています。
- 国が費用負担する範囲は年間1mSv以上(時間当たり0.23μSv)の汚染箇所に限定される。
- 環境省は汚染状況重点調査地域を指定する際、市町村からその意向を聞くことになっている。その参考として、市町村には文科省の航空機からの放射線量調査をもとにした、市町村区域内の0.23μSv以上の汚染を示したマップが市町村には配布されている。
- 一定以上の汚染がある範囲とは、どの程度の広さなのか具体的には示されていない。
- 直接的な除染費用は国が負担すると理解されているが、汚染の度合いを測る計測機器などの購入費が対象となるかは示されていない。
引き続き、「ホットスポット除染対策について」とのテーマで、日本原子力研究開発機構の安全統括部・次長田子格(たご・いたる)氏による講演が行われました。講演では、公園や校庭における鉄棒や滑り台、砂場、グランドなどの除染法について具体的な説明がありました。講演後の質疑応答では、除染した汚染土の処分法を国はどのように考えているか。芝生の除染は剥ぎ取るべきか、その場で立ち入り禁止とするべきか。河川や湖沼の底泥の汚染は、飲料水や農業用水として影響しないか。など、真剣な議論が行われました。
小休止を挟み、井手県議が「茨城・千葉両県の放射性物質汚染対策の視点」と題して、市町村議員の取り組みのポイントを問題提起しました。
その後事例報告を行い、北茨城市 (蛭田千香子市議)、阿見町 (川畑秀慈町議)、取手市 (貫井徹市議)、千葉県 (藤井弘之千葉県議)が各議会での取り組みをスライドや資料により説明しました。
最後に、石井啓一党政調会長(茨城県本部代表)が挨拶。「原発事故で大量の放射性物質が放出され、農畜産物や土壌、建物をはじめ環境汚染が各地に広がっています。しかし、これまで一般環境中に放出された放射性物質による汚染に対処する法律がなかったことに加え、政府が新法案を提出できず、対応が遅れたことが被災地の混乱を招き、復旧・復興の足かせになっていました。汚染で不安を抱く住民の健康を守り、避難者が一日も早く故郷に戻るためにも早期の法整備が急務でした。自民・公明と与党はともに骨子案を持ち寄り、スピード重視の観点から協議。与野党が骨子案から法案を策定した新しい合意形成の形で議員立法が成立しました。これが、放射性物質汚染対処特措法です。本日の情報交換会で様々な課題も浮き彫りになりました。このご意見を今後の国会の議論にも反映していきたい」と語り、この日の会合の締めとしました。
なお、この情報交換会には、茨城県の北茨城市、高萩市、日立市、常陸太田市、東海村、ひたちなか市、土浦市、阿見町、稲敷市、美浦村、つくば市、つくばみらい市、牛久市、龍ヶ崎市、利根町、取手市、守谷市、常総市、鉾田市の議員が、千葉県の柏市、松戸市、野田市、流山市、我孫子市、鎌ケ谷市、印西市、白井市の議員の代表が参加しました。