12月1日、茨城県土地家屋調査士政治連盟の会長より、地方法務局の地方移管に反対する請願の紹介議員を依頼されました。
地方法務局とは、法務省の地方出先機関の一つです。法務省が所管する業務の内、登記・戸籍・国籍・供託・公証・司法書士及び土地家屋調査士 、人権擁護 、法律支援、国の争訟の事務を行っています。一般的には単に「法務局」とか「登記所」と呼ばれています。
全国8つの管区(ブロック)ごとに法務局が置かれています。県庁所在地などには地方法務局が42カ所置かれています。それらの下に支局が置かれ、さらに出張所も置かれています。現在、不動産登記、供託以外の業務は、法務局又は地方法務局に移管作業が進んでおり、近い将来、支局・出張所では商業登記や戸籍事務を扱わなくなる方向です。
民主党は、政権マニフェストの中で地方分権改革の断行を訴え、原則、国の地方の出先機関の廃止をうたっています。
その出先機関の廃止、地方への移管の議論の遡上に「地方法務局の地方移管」が上がっています。
地域主権改革は、明治以来の中央集権体質から脱却し、この国の在り方を大きく転換する改革であり、その重要性は議論を待ちません。
しかし、国の出先機関が行う事務には,その性質上、法の解釈・運用に至るまで全国一律に行う必要のある事務も存在しています。事務事業の内容を考慮することなしに、一律に地方自治体に移管することが、必ずしも住民の利便性や福祉に合致するとは限りません。
こうした視点から判断すると、現在、法務局の行っている事務の多くは、国民の権利義務に直接関係し、解釈・運用に至るまで全国 一律に行う必要のあるものであり、国の出先機関であるからといって、軽々に法務局の全ての事務を地方自治体に移管すべきではないことは明らかです。
例えば日立市で認められた土地の登記が、同じ条件であっても水戸市では認めれなかった、と言うようなことがあっては絶対にありません。また、複雑な登記などの業務を地方自治体が背負うことは、かえって地方の負担増になってしまいます。
具体的に法務局の業務ごとに、なぜ、地方に関すべきでないのか、その理由を整理してみたいと思います。
- 不動産登記や法人登記、供託に関する事務並びに人権に関する事務は、国民の権利義務に直結するものです。法の解釈・運用に至るまで全国一律に行われる必要性があり、これに関する権限を地方自治体に委譲することには、行ってはいけないと思います。
- 法務局の所掌事務のうち重要な役割に、国籍に関する事務があります。国籍に関する事務は、国家の基本政策に直接関わるものです。当然、地方自治体の事務にはなじみません。
- 国の利害に関係のある争訟に関する事務は、国が直接の当事者です。これに関する権限を地方自治体に委譲することは不適切です。
- 人権擁護に関わる業務も、憲法でうたう基本的人権を守る業務であり、当然国が担うべき責任があります。地方に移管することには、馴染まないと考えます。
- 法務局が所管する業務は非常に専門的な業務であり、万が一地方に移管された場合、他の職務への移動も当然発生する地方公務員には大きな負担となる。
こうした観点から、法務局の地方移管には反対する請願の紹介議員となることを決定しました。12月県議会でいばらき自民党など他会派の同調を求め、国に対して意見書を提出したいと思います。