参議院は1月30日、本会議を開き、野田佳彦首相の施政方針演説などに対する各党代表質問を行いました。公明党の山口那津男代表は、マニフェスト(政権公約)総崩れの民主党政権には「もはや正当性はない」と批判。東日本大震災からの復興や、社会保障と税の一体改革についても政府の見解をただしました。
◆原子力災害対策本部等議事録問題
先週、原子力災害対策本部の議事録が存在しないと聞いて、にわかに信じ難い衝撃が走りました。総理、 あなたが責任者である原子力災害対策本部はなぜ議事録を作成していなかったのですか。なぜ、録音すら してなかったのですか。
原子力災害対策本部の会議は23回開かれ、そのうち4回は野田総理になってからです。その間、総理は、 議事録を確認したり、配布をさせたりしなかったのですか。
しかも、議事録不存在の会議は10会議に上ると政府は認めています。発表できない都合の悪い事実を隠し通すため記録を残さなかったのか。今から、議事概要を作ると言い訳しても、もはや再現は不可能でしょう。取り返しのつかないミスを犯してしまったのです。
未曽有の原発事故に直面し、政府の対応を検証できるようにするため、議事録を残すことは現在の国民および将来の国民に対する重要な政府の責務であり、国際社会に対する責任でもあるのです。
かつて、「歴史への反逆」と菅総理は言いましたね。またもブーメランではありませんか。そして、情報公開は民主主義の根幹でもあることから、行政情報については「公文書等の管理に関する法律」第4条で、総理が出席するような重要会議は議事録作成が義務付けされているのです。
総理、広範な議事録作成義務違反は重大な違法行為であり、国民や国際社会に対する深刻な背信行為であると言わざるを得ません。単なる「遺憾」では済まされる問題ではない。歴史の空白をつくってしまったその責任をどう受け止めますか。
国会の事故調査委員会は、まさにこうした政府の違法行為などをチェックするために設置されたもので、徹底した調査と検証が期待されます。調査に当たり、政府は関係資料の提出や関係者の聴取に最大限、協力する用意があるか答弁を求めます。
◆避難区域見直し
昨年12月中旬に政府が示した警戒区域などの避難区域解除・再編方針は一体、誰のための方針なのでしょうか。まさに今、対象地域に当たる11市町村から避難を強いられている方々のことを一体どこまでお考えになっているのか。本年4月1日をメドに本方針が実施されるとのことですが、例えば、ある地域では町の9割近くが帰宅困難地域に指定されるため、コミュニティーは崩壊し、自治体自体が破壊されるとの声も聞かれます。
総理、こうした区域の見直しには、住民や自治体の声や意見を十分に踏まえる必要があります。加えて、当然のことながら各地域の具体的な除染や社会インフラの復旧・復興の工程なども、同時に示して、今後の個人の人生設計や地域再生の見通しが立てられるようにすることが重要だと考えます。