2月9日までに茨城県は、東海第2発電所から徴収している核燃料税を、平成24年度当初予算には計上しない方針を固めました。核燃料税は、運転中の原発の核燃料の価格などに応じて、発電事業者事業者などに、茨城県が独自に課税している地方税です。
東海村にある日本原子力発電の東海第二原発は、震災で自動停止したあと、ことし8月上旬までの予定で定期検査が行われています。しかし、福島第1原発の事故の影響もあり、運転再開の見通しはたっていません。国も、定期検査が終了しても、再稼働を地元に要請する原発のリストには入っていないことを明らかにしています。
茨城県は、定期検査の際に入れ替えた核燃料の価格の13パーセントを「核燃料税」として事業者に独自に課税していますが、運転再開の見通しが不明だとして、東海第二原発からの収入については、新年度の当初予算案には計上しない方針で、予算編成を進めています。
核燃料税を定めている、北海道や愛媛県なども、同様に再開の目処がつかないことを理由に、予算計上を行わない見込みです。
茨城県は原発の核燃料のほかに、使用済み燃料の再処理施設に対しても、高レベル放射性廃液の量などに応じて核燃料税を課税していており、平成23年度は、約13億5000万円を計上しました。その内、東海第2原発分、約5億円を計上しないことになります。
原子力安全協定の地域拡大は「時期尚早」と県が回答
一方、2月8日、水戸市など県央地域の9市町村の首長で構成する県央地域首長懇話会が、原子力安全協定の見直しと東海第2原発再稼働の事前協議参加などを求める要求書を県に提出していた問題で、県は協定見直しは「時期尚早である」回答していたことがわかりました。
「原子力安全協定の範囲を拡充すれば、(再稼働を)前提にしているように見受けられる」と、その理由を県は説明しています。県が協定を見直すことが再稼働容認に向けた動きと国に受け取られる恐れがあるとして「今すぐ安全協定の見直しを行うことは適切ではない」と、見直しは時期尚早との判断を示しました。
茨城新聞の報道によると、懇話会の高橋(水戸市長)座長は「誤解がある。真意を県に確認したい」「(回答内容に)否定的な部分が多い」と述べていると報道しています。
この懇話会は水戸市のほか、笠間、ひたちなか、那珂、小美玉、茨城、大洗、城里、東海の9市町村の首長が参加しています。
国から再稼働に向けての見解が全く示されていない中で、地元自治体としては動くべきでないという橋本県知事の姿勢と、より多くの地元住民の意向を国に示すべきだという、市町村の考えには大きな溝があるようです。
再稼働を前提とした議論には、核燃料税の予算計上にしても、安全協定の範囲拡大についても、一切かたくなに慎重な態度を崩さない橋本知事の戦略。その意味もある程度理解しますが、県民へのしっかりとして説明は不足していると思われます。