2月14日、政府は国民一人一人に番号を割り振って納税実績や年金などの情報を管理する共通番号制度を導入するため、「個人識別番号法案」(マイナンバー法案)を国会に提出しました。
共通番号制度とは、国民一人一人に固有の番号を割り当て、年金や医療、介護、税務などの情報を政府が一体的に管理し、より正確な所得情報を把握することで、国民負担の公平性の向上などをめざすものです。【下記表参照】
この制度が導入されると、国民に共通番号などが記載されたICカードが配布されます。現在の年金手帳や健康保険証、介護保険証などの機能がこのカード1枚にまとめられます。
この制度が実現すると、低所得者に対する社会保障の充実や、行政手続きの簡素化などが期待でき、個人の所得をより正確に把握することで、社会保障サービスが必要な人に的確な給付を行うことができます。
また、確定申告などで番号を記入すれば、必要書類の添付が不要になります。さらに、東日本大震災のような大災害時でも、一人一人に番号があれば、本人確認や病気の状況をより早く把握できます。
政府は、法案が成立すれば、2014年6月には番号が記載されたICカードを国民に配布し、2015年からの利用開始をめざしています。
一方、この制度の問題点は、制度の意義や必要性があまり理解されていないことです。内閣府が実施したアンケートでは共通番号が「必要」と答えた人は57.4%と過半数を占める一方、内容を知らない人は8割を超えています。個人の所得を捕捉することに対して、反発する声も予想されます。
さらに、個人情報の漏えいや不正利用を懸念する声もあり、多くの行政機関などが情報を共有すれば流出の危険性も高まります。
制度を具体化するに当たっては、政治への国民の信頼が不可欠です。支持率が急落している民主党政権が果たして推進できるのか、そこが最大の問題かもしれません。