4月21日、井手よしひろ県議ら公明党茨城県本部は、水戸市内で政策学習会を開催。石井啓一党政調会長(党県本部代表)を招き、民主党の消費増税法案に関する考え方や年金問題についての見解を学びました。
石井政調会長は、消費税率の引き上げについて「民主党は、まず、社会保障制度の全体像を示す必要がある」と指摘しました。以下、そのポイントを紹介します。
持続可能で安心の高齢社会を迎えるためには年金、医療、介護の各制度をなお一層手厚くする必要があります。公明党は、少子高齢社会を支えるために、その裏付けの一つとして消費税率引き上げを否定はしていません。
しかし、安易な増税は絶対に認められません。公明党は、政府に対し、明確な前提条件を付けています。(1)年金抜本改革を含む社会保障制度の全体像提示(2)景気回復(3)行政改革の徹底(4)消費税の使途は社会保障に限定(5)消費税に限らず、税制全般で財源を議論――の5点を満たすべきです。
こうした点を確認し、石井政調会長は「野田政権は、消費税を財源とする新年金制度の全体像を示さずに消費税率の引き上げ方針を決めました。これではメニューを見せずに料金の支払いを求めているようなものです。『まず消費税増税ありき』は認められません」と、強調しました。
一方、民主党の最低保障年金案について、「実行不可能な民主党案は即時撤回せよ」と糾弾しました。
民主党は、消費税で賄う「最低保障年金」と、「所得比例年金」を柱とする「抜本改革」を2003年から訴えていますが、いつまでたっても具体像が示されません。
2月10日、公明党などの強い要望で、ようやく新しい年金制度なるものの試算を公表しましたが、あまりにも内容はお粗末でした。マスコミ各紙も「頭を冷やして検討し直すべきだ」(2月12日付、朝日「社説」)、「非現実案は即刻撤回せよ」(同11日付、産経「主張」)と厳しく批判しています。
民主党案には、(1)最大17.1%の消費税が必要(2)多くの人が、もらえる年金額が下がる(3)最低保障年金を満額もらえるのは40年も先――との“3つのまやかし”があります。民主党は、実現不可能な抜本改革の看板を下ろすべきです。などと、石井政調会長は語りました。
更にその上で、「年金制度は破綻するという人がいるが」との質問に答えるかたちで、現状の年金制度の実態を説明しました。
公明党主導の2004年の改革で、年金制度は急速な少子高齢化の重圧に耐えられる持続可能な制度へと生まれ変わりました。
具体的には、年金給付を支えるために基礎年金の国庫負担(税金)割合を2分の1に引き上げ、積立金も活用する。これにより、モデル世帯で現役世代の平均収入の50%以上の給付額を確保しました。また、現役世代の負担が重くなり過ぎないよう保険料の上限も定め、経済情勢の変動に応じて給付水準を自動調整する仕組み(マクロ経済スライド)を導入しました。
一部の学者の中で「近い将来、積立金が枯渇する」との指摘がありますが、これは何十年も日本経済がマイナス成長を続けるという極端な前提で試算されたもので、現実的ではありません。さらに2004年改革後の状況を点検した09年の財政検証では、順調に推移していることも確認されました。
実は、年金制度の安定に一番必要なのは、着実な経済成長と一層の少子化対策なのです。
さらに、現行の賦課方式から積立方式に変えたほうが良いという意見もありますが、制度を抜本的に変えには大きな困難があります。例えば、変更期間中、現役世代は現在年金を受給しいる人の負担と、自らの年金積立の負担と二重の負担を強いられることになります。さらに、積立方式はデフレ経済には強いが、インフレには弱いという欠点があり、積立方式への変更は実態的には不可能だといえます。
公明党が進めた100年安心の年金プランは、いわば100年住宅を作ったようなものです。どんな立派な住宅でも、リフォームやメンテナンスは必要です。年金の払込期間の短縮や基礎年金額の引き上げなど、不断の改善・改革は必要です。現行の制度をしっかりと維持して、社会保障の根幹を守って行きたいと思います。