6月12日、井手よしひろ県議ら県議会保健福祉委員会のメンバーは、兵庫県災害医療センターを訪れました。中山伸一センター長より、災害医療の現場の課題や災害医療センターの概要、取り組みなどを伺いました。
兵庫県災害医療センターは、阪神淡路大震災の教訓を基に地方自治体が設立した初めての災害医療センターです。平成15年8月に設立され、後方支援機能を担う神戸赤十字病院とともに、兵庫県の基幹災害拠点病院に指定されています。
また、平成18年9月からは、西日本の拠点として、東京の国立病院機構災害医療センターで行われている日本DMAT研修も行っており、全国の災害拠点病院とともに地震等の大地震や大規模事故に備えています。
災害医療センターは平時は、神戸市民の命を守る救命センター(3次救急拠点)として活用され、大規模災害時には、災害医療の拠点や県内各医療機関の情報拠点として活動することになります。
中山センター長の説明の中で、特に重要だと考えたポイントは3点。一つは、災害医療上の収集や共有の重要性。2つに災害医療の中核となるコマンダー(司令責任者)の必要性。3つに、平時における準備や訓練の徹底です。
大規模災害時には、何と言っても情報の収集、共有が大切です。その意味で、災害医療センターが持つ「災害救急医療情報指令センター」は非常に重要な施設です。阪神淡路大震災の当日、神戸大学附属病院では366人の患者を112人の医師が治療しました。同日、市内の他の病院では、1033人の患者を7人の医師で対応したという記録が残っています。もし、こうした医療の情報が病院間で共有されていたならば、患者を大学病院に移送するとか大学病院の医師を他病院に派遣するとかいった対応ができたはずです。こうした、医療機関間の情報共有拠点が「災害救急医療情報指令センター」です。いわば、県の災害対策本部の医療版、災害医療対策本部といった機能を持っています。
2つ目のポイントは、その対策本部で各医療機関に災害対応を支持するコマンダー(司令責任者)の存在です。県レベルでの大規模災害の対応責任者は県知事です。しかし、その下で医療機関の連携をはかり、効率的な運用を図るための責任者の存在が重要になります。救急医療(災害医療)の専門家であり、医療行政にも通じている必要があります。茨城県にも“災害医療統括官”といった役職者が必要であると痛感しました。
更に3番目が、非常時に対する準備や訓練の徹底です。平常時にどれだけの訓練を行い準備を積み重ねるかで、大規模災害時の対応が左右されます。中川センター長は、災害医療の災害対策本部の立ち上げ訓練や医師の参集訓練、各医療機関の非常通信網の抜き打ち訓練などが、最低限必要であると指摘しました。
中川センター長の説明、質疑応答の後、病院内の施設の視察やドクターカーの視察などを行い、充実した災害医療センターの調査となりました。