「水源地」を指定し、土地取引に事前届け出制導入
井手よしひろ県議らが、県議会第3回定例会に共同提案した「茨城県水源地域保全条例」が全会一致で成立し、2013年1月1日から施行されことになりました。
北海道、埼玉、群馬の3道県に次ぐ、全国4番目の条例です。議員提案で制定されたのは全国初となりました。水源地域の土地取引に事前届け出制を導入し、いわゆる乱開発から守るのが目的です。水源地の確保と、森林地域の保全の両面から、条例制定の効果が大いに期待されています。
この条例の背景には、外国資本による水源地周辺の森林買収と、その土地取引に伴う、乱開発に対する危機感があります。幸い、現段階で外国資本による森林買収の事例は、県内では見当たなりませんが、土地取引には規制がないため、将来の予防措置として条例制定に踏み切りました。
茨城県の森林面積は、18万6878ha。内訳は、民有林14万1901haで、水源海養機能が高いとみられる面積は12万8471haに上っています。
この民有地の売買には、全く制限がないために、主に中国などの外国資本による山林の買収が進んでいます。2011年の1年間で、北海道や神奈川・箱根町、群馬・嬬恋村など、山林およそ157ha、東京ドームにして、およそ43個分の山林が外国資本のものになってしまっています。
2006年からのデータを見てみると、毎年100ha以上のペースで外国資本の買収が進んでいることになります。
こうした状況の下、県条例の柱は、土地取引の契約内容を、30日前までに知事に届け出を求める「事前届け出制」の導入と、対象となる「水源地域」の指定です。茨城県では、八溝・多賀、水戸・那珂、霞ケ浦に3区分されている県地域森林計画のうち、民有林の水源涵養保安林1万16576haが「水源地域」に指定されます。
この「水源地域」内での森林の売買に関しては、契約内容(売買契約者の氏名、住所、土地取引の所在地、目的など)を事前の届け出ることが義務づけられます。その内容によっては、県が立ち入り調査を実施し、これを拒んだ場合は、勧告・公表措置を講じるなど、一定の規制を盛り込むことができるようになりました。
この豊かな水資源は、森林が持つ水源涵養機能によって育まれているため、私たちは、水源地域の森林を常に健全な状態に保つ必要がある。
しかしながら、近年、我が国においては、利用目的が明らかでない森林の買収事例が相次いで確認され、適切な管理が行われない森林が増加することによる森林の水源涵養機能の低下が懸念されている。
このような状況において私たちは、恵まれた水資源を維持し、後世に引き継いでいくため、水源地域の森林の重要性を深く認識するとともに、森林の永続的な保全に努めていかなければならない。
ここに、県民、水源地域の土地所有者等及び地方公共団体が連携し、協力して水源地域の保全に関する施策を推進し、本県の水資源がもたらす恩恵を将来にわたって享受できるよう、この条例を制定する。