6月3日、東海村の加速器実験施設「J-PARC」の放射性物質漏えい事故について、茨城県は施設を運営する日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構側に対し、再発防止の安全体制を構築するよう求める要請書を提出しました。
この要請書では、放射性物質が管理区域外へ漏えいする事故が発生したこと、さらには放射線業務従事者が被ばくしたこと、加えて、これらの事態についての県及び関係自治体への通報連絡が事故発生から一日半近くも遅れてなされたことにたいして、極めて遺憾であると厳しく指摘しています。その上で、以下の6点を具体的に要請しています。
- 放射性物質が想定していなかった加速器施設外へ漏えいした原因を徹底的に究明すること。
- JーPARC施設の全行程において、今回のような事故が起こり得る可能性について、しっかりと点検するとともに、今回のような事故の再発防止と施設の安全対策に万全の措置を講ずること。特に、今回の事故において、誰がどのように判断したのかなど、一連の対応について検証すること。
- 職員はもとより全ての作業従事者に対し、放射性物質についての認識を徹底させるとともに、十分な教育訓練を実施すること。
- 通報連絡体制の再点検を行い、改善を図ること。また、報告事項については、現場において明らかに軽微と判断できるものを除き、原則全てについて行うことを検討すること。
- その他、安全確保のために必要な対策を講ずること。
- これらの実施状況については逐次報告を行うこと。
要請書を原子力機構と高エネ研に手渡した泉幸一県生活環境部長は、橋本昌知事が文部科学省と原子力規制庁を訪問し、再発防止に必要な措置を講じるよう要請することを明らかにしました。
これに対して、高エネ研の野村昌治理事は「研究は県民の信頼を得て初めてできる。指示された内容を肝に銘じ、信頼回復に努めたい」と述べました。