7月19日、井手よしひろ県議は梶山ひろし国交副大臣らと共に、建設会社の親睦会総会に参加。県内建築業の状況や現場で働く職人の賃金アップ問題などについて意見交換を行いました。
国は職人不足の解消をめざし、公共工事を積算する際に建設労働者の賃金の目安とする公共工事設計労務単価を、2013年度に全国平均約15%の過去最大幅で引き上げました。
今年4月、太田昭宏国土交通相(公明党)は、都内で建設業団体の代表者と会い、建設業に携わる職人の賃金引き上げを直接要請しました。国交相が建設業団体に対し直接、賃金引き上げを求めるのは初めての出来事。自公政権の国民所得の向上を目指す姿勢の本気度を示しました。
太田大臣が要請した業界団体は、日本建設業連合会、全国建設業協会、全国中小建設業協会、建設産業専門団体連合会の4団体。席上、太田国交相は2013年度の公共工事設計労務単価(建設労働者の賃金相当額)を大幅に引き上げたことを踏まえ、「適切な水準の賃金支払い、社会保険加入の徹底が行われるよう協力をお願いしたい」と要望しました。また、職人の減少が著しい現状に触れ、建設業への若者の就職を促すには「所得を増やし、社会保険の加入を徹底することがその一歩だ」と訴えました。
さらに、東日本大震災の被災地の復興加速や全国の老朽化した社会資本の整備促進へ「事業の迅速、円滑な施工を」と要請しました。
団体側は賃金引き上げについて「対応をしっかり検討していく」(日本建設業連合会)、「全国の会員企業に周知徹底を図る」(全国建設業協会)などと回答しました。
一方、事業を発注する都道府県や民間企業に対し、国が賃金引き上げに向けた指導を行うよう求める意見などが出されました。
こうした太田大臣の要請を受け、日本建設業連合会(日建連)の中村満義会長(鹿島社長)は7月18日、東京都内で記者会見し、下請け企業に対し、鉄筋工など建設現場で働く職人の賃上げを求める方針を正式表明しました。中村会長は「技能労働者(職人)の不足は深刻で、このままでは建設業が立ち行かなくなる」と語りました。
賃上げ要請は、日建連の会員企業が公共工事を受注した際、仕事発注先の1次下請け企業に対して行います。直接的な契約関係のない2次以下の下請け企業にも1次下請けを通じ賃上げを求めることにしています。7月中にも開始されます。会員企業は、実際の職人の賃金状況も調べ、賃上げの徹底を図ることにしています。
日建連はまた、下請けが5次や6次など何段階にも分かれている構造が低賃金の温床と問題視。簡素化に乗り出し、5年後をめどに可能な分野で2次下請けまでに整理します。
中村会長は「課題はあるが走っていかないといけない」と強調。26日には太田国交相に会い、一連の賃上げ策を報告する予定です。
井手県議らが行った意見交換では、国のこうした対応を評価する意見が多く出されると共に、市町村や県が発注する工事に関しても、職人の待遇改善を一層進められるよう対応を求める声が相次ぎました。