公明党が全国で普及を推進してきた自動体外式除細動器(AED)の使用が、一般人にも認められるようになって7月で10年が経過しました。厚生労働省研究班のまとめによると、普及台数は40万台に迫っており、現在では45万台を超えているとされる。NPO法人AED普及協会の大久保実代表理事は「日本は人口1人当たりのAED普及率が世界一だ」と語っています。
AEDは、心臓の心室がけいれんを起こし(心室細動)体に血液を送り出せなくなった状態を、電気ショックにより心臓の動きを正常に戻す装置です。従来は医療従事者のみに使用が認められていたが、2003年に救急救命士に使用が拡大され、2004年7月には一般市民にも解禁されました。
駅や空港、学校をはじめとした公共施設、商業施設などを中心に急速に普及しているAEDでしが、総務省消防庁では今年7月、全国の消防本部に対し、さらなる有効活用に向け、市民が設置場所を知ることができるよう情報提供することや、設置施設の従業員や周辺住民らに対する応急手当の普及促進などに取り組むよう求めました。
一方、消防庁は一般市民が心肺停止状態の人を発見し、その場でAEDを使用した場合の1カ月後の生存率は、未使用の場合よりも約4.4倍も高いといわれています。
ところが、市民によるAEDの使用率は3.7%(2012年度)とまだまだ低調です。大久保代表理事は「使い方が分からない人も多く、フル活用されていない。数は増えても10年前と変わらない状況だ」と話しています。また、現場に居合わせても、不安などから使用をためらっているケースもあると指摘し、「人の命が懸かっている。大声を出すだけでも構わないので勇気を出してほしい。そこから救命は始まる」とした上で、講習を受けられる機会や、講師を増やす必要性を訴えています。
公明党は2003年から国会質疑の中でAEDの設置拡大や、一般市民への使用解禁を強く主張。全国の自治体でも公明議員が普及を訴えるとともに、党支部会などで党員がAEDの使用法を学ぶ講習を実施するなどして、市民への普及啓発に取り組んできました。
茨城県ではAED普及条例を制定
茨城県では、県民の救命率の向上のため、AED及び心肺蘇生法の普及促進を図ることを目的に、「茨城県AED等の普及促進に関する条例」を、平成25年4月1日より施行しました。この条例は、日本で初の議員提案で制定されたAED普及のための条例です。
茨城県AED普及条例では、県の取り組み、学校の取り組み、県民の取り組み、事業者の取り組みを明確にしています。
茨城県の取組
- 県民に対するAED・心肺蘇生法の普及、啓発の実施
- 多くの利用者が見込まれる県の施設におけるAEDの設置義務(別に定める設置基準に基づく)
- AEDを設置している県の施設における設置場所及び使用方法の表示義務、その他の施設における表示努力(別に定める表示基準に基づく)
学校における取組
- 教職員に対するAED・心肺蘇生法に関する知識及び技能を習得させる努力
- 公立学校の新任教諭に対する救命講習の実施義務
- 学校におけるAED、心肺蘇生法に関する知識、技能の習得機会の確保努力
- 公立中学校、高等学校及び中等教育学校の生徒に対する学習指導要領を基本とした心肺蘇生法に関する実習の実施義務
- 公立以外の中学校、高等学校及び中等教育学校の生徒に対する前項の規定に準じた心肺蘇生法を理解させる努力
県民の取組
- AED・心肺蘇生法に関する知識、技術の習得努力
- 救急現場に居合わせた場合の自ら率先して応急手当を実施する努力
- 大規模イベント時にAEDの設置場所を参加者に周知する努力
事業者の取組
- 従業員にAED・心肺蘇生法に関する知識、技術を習得させる努力
- AEDを設置する努力
- AEDの設置場所及び使用方法を表示する努力(別に定める表示基準に基づく)
コンビニにAEDの配備を
茨城県議会公明党では、24時間、365日営業しているコンビニエンスストアにAEDを配備することを提案しています。
茨城県内では、神栖市が市内コンビニにAEDを配置しています。24時間営業の市内コンビニエンスストアのうち、AED設置に協力いただける店舗
(セブンイレブン、ファミリーマート、ミニストップ、ローソン、サークルKサンクス、ココストア)に無償で配置します。
市が一括してAEDをリース契約し、コンビニに配備します。費用は1台当たり1カ月約5000~6500円です。