がんに関する正しい知識を学び、いのちの大切さについて考える「がん教育」が、各地の小中高校で広がりを見せています。2014年度から文部科学省も、全国の学校でモデル事業を始めています。
がんは1981年以降、日本人の死因のトップになっているにもかかわらず、病気との向き合い方や患者に対する理解が十分とはいえないのが現状です。
現在の教育現場では、保健体育の授業で、生活習慣病の予防や喫煙などの害を学ぶ際、他の病気を合わせて紹介される程度です。授業時間も小中高校で、それぞれ1時間ほどしか確保されていません。
このため公明党は、文科相にがん教育検討会の設置を提言し、衆院代表質問でも全国展開を訴えるなど、がん教育の強化を後押ししてきました。
こうしたがん教育を推進する流れは、教育の現場である地方の議会でも重要です。
がん教育のポイントを整理してみると、
- がん教育の目的は、1.生徒ががんについて正しく理解する、2.がんという病気を通じていのちの大切さを実感する―ということです。
- がん教育は、1.教師がクラスごとに行うがんの授業、2.外部講師(医師やがん経験者)が学年単位で行う、がん教育(年1回くらい)―の2段構えです。これは、「車の両輪」のようなものです。教師だけで行うがんの授業では、知識のみ教えることに終わるという懸念があります。医師・がん経験者が学校現場に飛び込むことで、より深い理解と、経験からくる「いのちの大切さ」の訴えが心に響きます(これは、実際のがん教育で立証済み)。
- がん教育は、1.小中高で実施する、2.小学校は、知識よりも、健康と命の大切さを外部講師から学ぶ、3.中高では全学年で実施するか、特定学年で実施するかは、当面は自由とするーという大枠の考えです。
- がん教育の効果は、1.生徒自身の健康等への関心(がんの知識と、いのちの大切さを考えるきっかけ)、2.生徒から父母への「がん検診の勧め」、3.教師もがんを知り、自身の健康管理を実践、4.医師も、生徒へのがん教育という、難しい(やさしく、分かりやすく教える)ことに挑戦することで、結果として自身の成長につながる(より良き医師となる)-の「1石4鳥」です。
- がん教育を実現するためには、1.都道府県・政令市などに「がん教育推進検討会」などを設置して、教育委員会、健康福祉部局、医療関係者、がん経験者などによる協議を開始する、2.この検討会で、医師やがん経験者のリストアップと研修、教材作成(文科省で今年度作成するので参考にしても可)を協議、3.医師等の外部講師につては謝礼が問題となりがちですが、原則、無償のボランティア活動とする―などの環境を作る。
茨城県でも本格的ながん教育の流れを構築していきたいと考えています。まずは、井手よしひろ県議が9月の代表質問で取り上げる予定です。