「平和安全法制」関連法案の国会審議で、民主党など一部野党が、徴兵制導入に道を開きかねない法案などと言って不安をあおっています。
「戦争法案」といった批判と同じ一方的で根拠のないレッテル貼りであり、とうてい安全保障政策と真摯に向き合う姿勢とは言えません。
徴兵制とは、個人の意思にかかわりなく一般国民に兵役を義務付ける制度である。政府はこれまで、国会答弁などを通し、徴兵制は憲法18条の「その意に反する苦役に服させられない」との規定、または、憲法13条が定める個人の尊重の原則に反するとの理由で、憲法の下では許されないと断言してきました。
安倍晋三首相も今国会で「明らかな憲法違反。たとえ首相や政権が代わっても徴兵制の導入はあり得ない」と繰り返し答弁しています。
このように徴兵制に関する政府見解は一貫しているのです。今回の法案審議の中であえて取り上げるまでもない徴兵制の問題を、なぜ一部の野党は持ち出すのでしょうか。
法案によって自衛隊員が危険にさらされるため、将来的に入隊希望者が減って徴兵制になるとか、解釈改憲で徴兵制を導入する可能性があるとか、法案の内容とは全くかけ離れた荒唐無稽の話になっています。
“戦争”とか“徴兵制”といった言葉を使うことで法案に対する誤ったイメージを広げることが、野党の役割ではないはずです。
国民が国会審議に求めている内容は何か。一つは、この法案がなぜ必要なのか、また、法案の成立によって日本の抑止力がどう高まり、国民の安全が確保されるのかといった安全保障の議論です。もう一つは、憲法9条の下で自衛隊が行う「自衛の措置」(武力行使)はどこまで許容されるかを明らかにする憲法論です。
とかく抽象的になりがちな安全保障の議論だからこそ、争点を明確にし、国民に分かりやすく、丁寧に伝える責任が国会にはあるはずです。
徴兵制といった現実離れしたテーマを持ち出し、「批判のための批判」としか言えないような議論で、大事な安全保障の国会審議を混乱させてはならないと強く主張します。
安倍首相は“徴兵制”導入を明確に否定
写真は、7月30日の参議院特別委員会で答弁する安倍晋三首相。安倍首相は平和安全法制について、「(他国の)戦争に巻き込まれることは絶対にないと断言したい」と強調。さらに、「いかなる安全保障環境の変化があっても、本人の意思に反して兵役の義務を負わせる徴兵制の本質は変わらず、合憲になる余地は全くない」と明言し、平和安全法制で徴兵制と戦争参加はないと主張しました。