9月3日、井手よしひろ県議は、参議院議員会館に秋野公造議員を訪ね、総合的ながん対策を進める上で、胃がん撲滅へのピロリ菌対策や内視鏡検査の導入等について、様々アドバイスをいただいてきました。また、茨城県の睡眠医療の取り組みについて報告し、睡眠時無呼吸症候群の治療や診断にあたって遠隔医療の可能性などについて情報交換させていただきました。
秋野議員は長崎大学医学部を卒業し、アメリカ留学を経て、平成18年に厚生労働省に勤務。疾病対策課、血液対策課の課長補佐などを歴任しました。平成22年公明党から参議院選挙(比例代表)に出馬、初当選しました。長崎大学客員教授、横浜薬科大学客員教授も務め、アメリカ・日本創傷治癒学会ジョイント学会第1回優秀演題著書『胃がんは「ピロリ菌除菌」でなくせる』、「健康ニッポンを造る」などの著作もあります。
秋野議員は医師免許を持ち、厚労省の医療行政にも精通する、公明党の医療政策のキーマンです。
睡眠時無呼吸症候群の治療に有効なCPAP療法
この秋野議員が、昨年3月の参議院予算委員会で、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法の一つである、CPAP療法(シーパップ:経鼻的持続陽圧呼吸療法)について、遠隔医療の可能性を提案しました。CPAPは、閉塞性睡眠時無呼吸タイプに有効な治療方法として、欧米や日本国内で最も普及している治療方法です。CPAP療法の原理は、寝ている間の無呼吸を防ぐために気道に空気を送り続けて、気道を開いておくというものです。CPAP装置からエアチューブを伝い、鼻に装着したマスクから気道へと空気が送り込まれます。
CPAPは大変有効な治療法ですが、持ち運びや装着感に課題があります。また、ほとんどが外国製の装置であるために、一番重要なマスクの形状が日本人の骨格に合わないということも指摘されています。
このCPAPは医師の指示を受けながら自宅で治療に使われますが、現在、一ヶ月15,000円でレンタルされています(健康保険の場合3割負担で月4500円)。一ヶ月に一度の医師の診療が義務付けられています。
こうした現状に対して、秋野議員は参議院の予算委員会で、規制緩和と遠隔医療の可能性を指摘しました。「この治療を受け続けるためには一か月に一回外来受診をしなくてはなりませんが、実態としては機械の管理が中心になるということを考えると、必ずしも病院受診、対面で行う必要はなく、例えばインターネットを使ったり、電話とかそういったような、あるいは遠隔医療などの対象として検討をしてみるということもあるのではないかと思います。それが可能であれば、日本人の1%が今海外でビジネスマンとして暮らしたり海外で住んでいる状況であります。海外で頑張るビジネスマンでこういった疾患を持って、日本にいれば治療が受けられるのに海外にいるから受けられないような方々に対しても適用を拡大する可能性があるんじゃないかと思います」と提案しました。
この質問を受けて、国は平成27年度、在宅酸素療法及びCPAP療法について、安全性、有効性等についてのエビデンスを確認した上で、患者の利便性向上や医療従事者の負担軽減の観点から、対面診療を行うべき間隔の延長や遠隔でのモニタリングに係る評価を、中央社会保険協議会において検討することになりました。
日本人の骨格にあったマスクの開発や機器の小型化、インターネットと連携した遠隔モニタリングなど、CPAP機器の課題は数多くあります。茨城県でもこうした課題に取り組もうとする県立こころの医療センターの土井院長などと連携しながら、睡眠医療を着実に進めていきたいと思います。