「軽減税率」導入にも反対している共産党。来年4月からの10%引き上げにも当然反対しています。
それでは、今の8%のままなら賛成なのでしょうか。以前は消費税そのものの廃止を訴えていたのですが、いつの間にか「税率引き下げ」や「増税中止」へと主張がすり替わっているようです。
選挙のたびに考えが二転三転するので確かなことは分かりませんが、どうやら「消費税廃止」という当初の公約は撤回したようです。
一方で共産党は、消費税に頼らない「別の道」があるかのように吹聴し、消費税に代わる財源案なるものまで示しています。しかし、これも極めていい加減。日本経済を引っ張る大企業に増税する一方で、防災・減災にも使われる公共事業費の縮小、国民の命を守る防衛費の削減などを実施するとしていますが、それで幾ら捻出できるのでしょうか。共産党が示した金額は7兆~20兆円と、その時々で違っていて、全く一貫性がありません。荒唐無稽な“数字遊び”をやめるべきです。(右上の表は共産党の主張する消費税に代わる財源です)
2013年度の社会保障給付費は、110.7兆円に上りました。少子高齢化の進展で国の負担分は毎年1兆円規模で増加し続けています。この財源を支える柱の一つが消費税であり、増収分は、すべて年金、医療、介護、子育ての社会保障の充実と安定に充てられます。
例えば、消費税率10%時には無年金者対策が拡充され、年金の受給資格期間が25年から10年に短縮されます。今まで年金を受給できなかった人たちも、保険料を10年間納めていれば、年金が受け取れるようになります。
また、低年金者に月最大5000円を支給する「年金生活者支援給付金」がスタートするのをはじめ、待機児童解消のための保育所整備など、子育て支援も前進します。
共産党の言う通り増税を中止すれば、こうした政策を実施できなくなり、高齢者や子育て世帯に支援の手を差し伸べることができず、福祉の後退、切り捨てに直結するのです。
選挙が近づくと共産党などから、消費税に頼らなくても社会保障は維持できるなどの根拠のない悪宣伝が繰り返されます。来年4月から消費税が10%に引き上げられ同時に軽減税率が導入されると、消費税による収入は、国と地方合わせて約25兆円です。この25兆円は、先にも述べましたが、すべて社会保障の充実のために使われます。共産の主張にそって、反論を加えてみまます。
社会保障の財源を確保するために、「公共事業予算や防衛費を削れ」という主張
2016年度の公共事業費は約6兆円、防衛費は約5兆円です。合計でも11兆円。仮に、これらを全部削って社会保障費に回しても、消費税収入の半分程度にしかなりません。公共事業費のうち、防災、減災など国民の生命や財産を守る予算を大幅に削ることは出来ません。北東アジアの緊張が高まり、イスラム過剰派のテロの脅威が増大しています。その中で防衛費を削減することは現実的ではありません。
「大企業の法人税や金持ちへの課税を強化すれば社会保障費は賄える」との主張
例えば消費税を5%から10%に引上げる増税分を、すべて法人税で賄おうとすれば、法人税は現行の2倍以上になり、日本企業の国際競争力の低下を招きます。国際化した企業の本社機能の海外移転を止められなくなります。結果的には雇用の減少などが起り、日本の産業は空洞化してしまいます。
同様に所得税では所得税率が2倍近くに跳ね上がり、現役世代の生活を直撃します。課税を免れるため、富裕層の海外逃避が加速。結果的にGDPの3分の1を支える個人消費に大きな影響を与えます。
「消費税が公共工事などの目的に使われている」との主張
平成12年8月に成立した「税制抜本改革法」をみてみると、消費税は年金、医療・介護、少子化対策だけに充てることが明記されています。消費税は社会保障以外の目的には使えないのです。
こうした政治や行政に関わる者にとって最低限知っていなければならない常識を無視して、「公共事業予算や防衛費を削れば、消費税を上げる必要はない」などと、主張することは誤解ではなく、国民を惑わす「うそ」としか言いようがありません。