全国的な犬猫殺処分ゼロへの世論の高まりの中、茨城の動物愛護行政も、いま大きな転換期を迎えています。昨年(2016年)12月、茨城県議会は「茨城県犬猫殺処分ゼロを目指す条例」を全会一致で制定しました。
これをうけて、今日(2月27日)行われた県議会本会議の施政方針演説で、橋本知事は「動物愛護につきましては、飼い主や販売業者等への意識啓発などに努めますとともに、いわゆる地域猫の不妊去勢手術費用への助成や動物愛護団体等が新たな飼い主を探す活動への支援などを通じ、犬猫殺処分ゼロを目指してまいります」と、犬猫殺処分ゼロを目指すことを宣言。県は、新年度から、市町村や愛護団体などとの連携を強化し、犬や猫の殺処分頭数を減少させるために、様々な新たな取り組みを行うことになりました。
まず第一に「犬猫殺処分ゼロを目指す環境整備事業」として2200万円の予算が計上されました。
この事業は、犬猫殺処分ゼロを推進する県内の動物愛護団体などに、1団体あたり10万円(10団体程度)または30万円(3団体程度)の定額補助を行うものです。補助の詳細は予算決定後、検討されることになります。
また、犬の放し飼いの削減を目指すために、放し飼いや迷子の犬の情報を県や市町村が共有するためのシステムの導入を検討します。
さらに、”地域猫活動”を市町村と連携して推進します。地域猫活動とは、不妊去勢手術の徹底、周辺美化など地域のルールに基づいて飼い主のいない猫を地域で飼育・管理する活動です。地域猫活動を支援することによって、猫の収容頭数(殺処分頭数)の減少や糞尿による悪臭、鳴き声による騒音などの環境問題の解決を目指します。
来年度からの新規事業の2つ目は、動物指導センターに収容された犬猫を譲り受け、新たな飼い主を探す活動を行っている団体等に、飼育費用の一部を支援する事業です。予算額1200万円が認められました。動物指導センターに譲渡先として登録されている団体、個人に対して、犬猫の譲り受けについて、一頭当たり上限1万円を補助します。最大1200頭分の犬猫の譲渡に対して、補助金が確保されました。
第3に、ふるさと納税制度を活用して寄付金の協力を呼びかけ,犬猫殺処分ゼロを目指すための事業に充当していきます。井手よしひろ県議は、これら事業が速やかにスタートできるように、まず県が基金に原資を積み立てるよう議会で訴えています。
この他にも、動物指導センターでは収容している犬全頭に、感染症予防のため混合ワクチンの接種を始めました。センターでの収容期間を6日間に延長するなどの対策を講ずることで譲度頭数や返還頭数の増加を目指します。昨年10月から中止している炭酸ガスによる処分を、今後も行わないことを確認しています。
動物愛護センターの整備や動物愛護の担当窓口の明確化が課題
これからの課題としては、水戸市やつくば市が中核市に移行することを見据えて、動物愛護の拠点施設(保健所に動物愛護センターを併設する)の設備を目指します。また、県の動物愛護の司令塔として「動物愛護推進室」などの組織を明確にすることを主張します。さらに、住民に一番近い行政体である市町村に動物愛護の担当窓口を創設することを提案していきたいと思います。