議員年金廃止提案へ 県議会、法改正求め 全国初の問題提起
茨城新聞(2008/03/22)
県議会(桜井富夫議長)は二十一日、議会改革の一環として、「議員年金」の廃止へ向けた法改正を五月の全国都道府県議長会などで提案する方針を固めた。議員年金は公費負担を伴い、高齢化社会の進展で年金制度の維持が課題となっていることから、「特権」「厚遇」などと批判を浴びている。廃止へ向けた動きは全国都道府県議会で初めてで、市町村議会を巻き込んだ議論ともなるため法改正までには難航が予想されるが、「問題提起」として地方議会の在り方に一石を投じそうだ。
議員年金の廃止は二十一日に閉会した二〇〇八年第一回定例会中、県議会会派の自民党が提案。桜井議長らによると、各会派で検討した結果、一部会派を除き大筋の合意が得られたという。これを受け、桜井議長は五月二十八日の全国都道府県議会議長会(東京都内開催)と同月七、八日の一都九県関東議長会(埼玉県内開催)に提案する方針だ。
県議会事務局によると現在、県議は就任と同時に「都道府県議会議員共済会」に強制加入し、議員報酬からの天引きで毎月八万六百円とボーナス支給時の平均七万四千円程度の掛け金を納めている。退職後の年金支給は十二年以上納めるのが条件で、年間支給額は最低の十二年で年間百七十三万六千円、最高の三十年で二百三十六万九百六十円となっている。
議員年金は議員の掛け金と公費で維持されており、本県の場合、年間四千八百万円を県費で負担している。
議員年金は、行財政改革や合併による議員定数削減で加入者が減る一方、高齢化で受給期間が延びていることから維持が難しくなっている。国会は昨年四月から廃止したが、実際には経過措置が取られ、減額された年金、退職一時金の支給が当分続く。また、地方議員の年金も同月から掛け金が引き上げられ、支給額が引き下げられたが、改正前の支給額を手にしようと〝駆け込み退職〟が目立ったことからも批判を集めた。
県議会では昨年十二月に日当、交通費に当たる費用弁償の減額に踏み切ったばかり。ただ、議員年金については、現行制度の見直しの必要性については全会派とも一致しているが、廃止へ向けた姿勢には一部に温度差も見られるという。
政務調査費の透明度を高める議論を最優先すべき

平成の大合併で地方自治体の数が減り、また、地方自治体の行財政改革で議員定数が削減されたこともあり、掛金を払う現役議員の総数は激減し、受給される元議員が増えたため、共済会の財政は逼迫しています。
2003年4月に議員共済会の財政状況が赤字のため、掛金率増、特別掛金率増、公費負担率増、給付削減等の制度改正が実施されました。さらに、06年6月に「地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律」が成立、07年4月1日から、年金の受給金額が減額されました。
現在、茨城県議会議員の場合、毎月の掛け金は8万600円、ボーナス時には7万4000円が上乗せされ支払っています。年間支給額は、3期12年で退職した場合、173万6000円(月額14万4600円程度)が支給されます。なお、支給年齢は65歳からで、議員在職期間中は年金の支給は行われません。
この共済年金の議員と県の負担割合は、おおよそ6:4で、国会議員の年金制度のように決して公費負担が多いわけではありません。(厚生年金の負担割合は雇用者と雇用主がほぼ5:5、国民年金も負担割合を5:5に国の負担を引き上げる計画です)
しかし、今後、財政の悪化は避けられず、抜本的な見直しの議論が必要になっていることも事実です。
3月21日の議会運営員会での議論では、関東議長会や全国議長会などに諮り、具体的な検討を行うことには、すべての会派が同意しました。しかし、地方議員の立場それ自体の位置づけが不明確な中で、まず、地方自治法の見直しの議論を先行すべきである。県民の大方の関心は、議員年金の問題よりも、「政務調査費の明確化」の問題に関心が高まっており、政務調査費の改革を後回しにしてはならない。議員共済年金は、地方議員が安心して議員活動に取り組むことを保証するために作られた制度であり、廃止にあたっては慎重に検討する必要がある。などの意見が交わされました。