6月21日、大洗町の日本原子力研究開発機構「大洗研究開発センター」 で作業員5人が被ばくした事故を受けて、原子力規制委員会は緊急の立ち入り検査を行いました。
緊急検査では、担当者への聞き取りや書類の確認が行われ、原子力規制庁によると、被ばくした作業員が作業前にマスクを装着する際、2人1組で互いの装着状況を確認していなかったことや、容器の点検作業について詳しい計画を作成していなかったことが判明しました。
また、この被ばく事故は、核燃料物質を入れた袋が何らかの原因で破裂し、プルトニウムなどが飛び散ることで起きました。この袋は、26年前に詰められたまま一度も開けられていませんでしたが、原子力機構が、当時、作業にあたった元職員から聞き取りを行った結果、中のプルトニウムなどの核燃料物質は、合成樹脂製の接着剤を使って固められていたことがわかりました。
合成樹脂は、放射線によって分解されるとガスが発生する性質があり、原子力機構は、袋が破裂したのは、この樹脂製の接着剤が原因だった可能性があるとみています。
一方で、核燃料物質を直接、入れていたポリ容器が放射線で分解し、ガスが発生した可能性も残されていて、原子力機構は来月下旬までに事故の原因を詳しく調べ、国に報告することにしています。
原子力機構へ緊急の要請書を手渡しする井手よしひろ県議ら(2017/6/16)
こうした状況を受けて茨城県議会では、国に対して、正確で迅速な情報公開を徹底することや、機構の安全管理体制の強化を求める意見書を、全会一致で可決しました。
橋本昌知事は、22日の記者会見で「機構として注意を徹底してもらいたい」などと述べ、原子力機構の体制そのものを見直すべきだという考えを示しました。橋本知事は、機構に対して早急な原因究明と再発防止策の提示を求める考えを示したうえで、「対応をしっかりすればこのような事態にはならないだろうという事故が相次いで起きているので機構として、注意を徹底してもらいたい」などと述べ、原子力機構の体制そのものを見直すべきだという考えを示しました。
そのうえで橋本知事は、事故を防ぐためには現場で作業を行う作業員に勉強や研修などの機会を設ける必要があると指摘しました。「原子力行政については、国が責任を持つ体制になっていて、作業計画などは基本的に原子力規制委員会でチェックすることになっている」などと述べ、機構を監視していく責任はあくまでも国にあるという考えを強調しました。