12月2日県議会に、県監査委員による「公舎、職員住宅等の管理運営について」の行政監査報告が提出されました。
それによると、05年5月1日現在で、県が管理する公舎・職員住宅は432施設、3338戸あります。その大部分は、高度成長期に建設され、設置から30年から40年が経過しています。建物の老朽化や入居者の意識の変化から入居率は低下し続けています。原則、勤務地での居住が義務づけられている警察本部を除いては7割を切っており、知事部局だけを見れば、5割を割り込んでいます。
一方、住宅の使用料は、3DK築30年以上のRC(鉄筋コンクリート)造りで9000円程度、3DK築5年未満のRC造りで2万1000円程度とかなり低額な水準となっています。同種の民間住宅の平均が5万4854円であり、官民格差が顕著になっています。
また、駐車場使用料については、一切徴収されておらず、県営アパートでも徴収されている民間の実態と大きく掛け離れています。
使用料が安いため住宅の維持管理の必要な経費をまかなうことができないため、定期的な建て直しや大規模な改修には、県費を投入する必要があります。しかし、県の厳しい財政状況により、緊急の補修程度しか対応できていない現状です。さらに、震災対策のための耐震診断が行われた施設は、わずか4施設のみで、その施設も耐震補強とは手がつけられておらず、防災面でも大きな不安材料となっています。
用途別では、単身者の職員寮の入居率が極めて低く、その設置目的がほ終了されてものと思われます。こども福祉医療センター女子寮16戸で入居数は3戸(入居率18.8%)、県立あすなろの郷独身寮60戸で利用者なし、県立中央病院第3女子宿舎68戸で入居数4戸(5.9%)、友部病院看護宿舎56戸で利用者なし、こども病院看護士宿舎36戸で利用者なし、などとなっています。
こうした観点から、監査委員は以下のような意見を公表しています。
●知事部局の公舎の6割、教育庁の8割5分が使用されていない。活用の見込めない公舎は、職員住宅への転用や廃止、売却を検討すべきである。
●知事部局と教育庁との相互利用や部局間の相互利用も行われていない、当面部局間の相互利用を推進すべきである。
●住宅の使用料は、県民の理解を得られるような水準を徴収できないか検討すべきである。
●駐車場料金も県民が納得できる料金徴収を検討すべきである。
●目的外の使用(看護職員の休憩所や倉庫など)、退去時の検査など、管理の徹底を図るべきである。
●階段や通路、庭の清掃など共同部分の管理を徹底すべきである。
所管部局別の設置戸数と入居状況
所管部局 | 設置戸数 | 入居戸数 | 入居率 |
知事部局 | 1084戸 | 528戸 | 48.7% |
企業局 | 24戸 | 8戸 | 33.3% |
教育庁 | 467戸 | 325戸 | 69.6% |
警察本部 | 1763戸 | 1611戸 | 91.4% |
合 計 | 3338戸 | 2472戸 | 74.1% |

12月5日、マスコミ各社が検査委員の監査結果を掲載しました。(2005/12/5更新)
入居率低い公舎、県警への移管要請 県監査委員
茨城新聞(2005/12/5)
県監査委員は、県が管理・運営している公舎や職員住宅を対象に行政監査を実施し、五日、監査結果を発表した。全体の入居率が74・1%と低く、特に公舎は知事部局で40・0%、教育庁で14・3%にとどまっている現状を踏まえ、今後施設不足が見込まれる警察本部へ施設を移管することや、部局間での相互利用などを求めた。
監査結果によると、監査対象となったのは、公舎、職員住宅、寮、民間借り上げ住宅の計四百三十二施設(三千三百三十八戸)と十三跡地のうち、入居率が低い施設など六十六施設(九百八戸)と一跡地。
県監査委員事務局によると、民間借り上げ住宅を除く三百八十一施設のうち、築後三十-四十年経過したものが百九十一施設あり、老朽化が進んでいる。入居率は知事部局が48・7%、教育庁が69・6%などと総じて低く、公舎は知事部局で60・0%、教育庁で85・7%が空き家になっている。
一方で、原則として職員に管内居住を義務付けている警察本部は、施設の入居率が91・4%と高く、今後の警察官増員で施設が足りなくなることも予想されている。
このため監査委員は、維持する施設と解体する施設を選定し、県警本部に移管することや、部局間で相互利用することを求めた。
さらに、施設の利用料が、鉄筋コンクリート造り3DK、築後三十年以上で九千円程度、築後五年未満で二万一千円程度と格安なのに加え、すべての施設で駐車料金を徴収していない実態を受けて、県民の理解を得られるような水準の住宅使用料、駐車場使用料の徴収を検討すべきとした。