1月9日、井手よしひろ県議と高崎すすむ県議は、県農林水産部より「エコ農業茨城構想専門委員会」が昨年12月に取りまとめた提言について、説明聴取及び意見交換を行いました。
「エコ農業茨城構想専門委員会」(委員長・中道宏日本水土総合研究所顧問)は、昨年12月26日、エコ農業に取り組む農家への直接支払いやエコ農産物の認証制度創設などを柱とした提言書をまとめ、橋本昌知事に提出しました。(当ブログ「県単独でエコ農家に直接支払い」2007/1/1付けをご参照下さい)
この提言は、地域ぐるみで環境保全型農業の取り組みを推進し、本県農産物のイメージアップを図るのが目的。霞ケ浦の水質汚濁や平地林・里山の荒廃など本県特有の課題を解消し、全国有数の農業県としての責務を果たそうというものです。基本戦略として、(1)地域総点検活動の推進(2)エコ農業のステップアップへの支援(3)農業農村の良好なイメージ醸成(4)いばらきエコ農産物の販売促進、4点を柱に据えます。
エコ農業の面的拡大を促すため、取り組む集落を「開始地区」「展開地区」「優良地区」の三段階に分けて認定する。
基本となる「開始地区」は、土づくりや効果的な施肥など、農村環境の保全に取り組む地域をさします。担当課では、県内3800集落の内、3年程度を目安に2000集落程度を「開始地区」に認定したいとしました。
交付金支払いの対象は「展開地区」からとなります。化学合成農薬と化学肥料をそれぞれ5割以上削減することが条件となります。新たに認証制度を設け、これらの地域で作られた農産物の販売にあたって差別化を図ります。エコ農業茨城構想の特徴は、この交付金を戸別の農家に直接支払うことです。
国が2007年度から導入した「農地・水・環境保全向上対策」によって、「一定のまとまりをもって化学肥料・化学合成農薬を原則5割以上低減する先進的な取組」に対しては、「先進的営農支援」として水稲の場合10a当たり6000円の補助金が支給されます。しかし、この制度は、1.作物ごとにみて、対象区域の農家のおおむね5割以上が取り組んでいること、または、2.対象区域の作物全体でみて、作付面積の2割以上かつ農家の3割以上が取り組んでいることが要件となっており、その条件を満たすことが非常に難しい現実があります。実際、今年度、茨城県内でこの条件を満たし認定された地域は、わずか2箇所しかありません。
そこで、茨城県の制度では、開始地区内の農家であれば、戸別に補償する仕組みを取り入れました。
さらに取り組みを拡大させた「優良地区」は、既存の補助事業を優先的に採択できるとしています。
県独自の直接支払い制度に関しては、既に滋賀県が2004年度に導入して大きな成果を上げています。導入以前には環境に配慮した農産物の栽培面積は1224haであったものが、制度導入後04年には2568haと倍増し、06年には5799haと4.7倍に面積が拡大しています。
この提案を来年度の予算の中に具体化していくためには、いくつかのポイントがあります。
その第一点は、戸別補償に充分な財源を確保できるかどうかという問題です。国の支援単価は、水稲の場合10a当たり6000円です。滋賀県は、10a当たり5000円で、地域でまとまった場合、国の制度に移動できるため、大きなインセティブとなっています。厳しい財政状況が続く茨城県ですが、茨城の農業は環境に優しいというイメージを作るためには、制度スタート時点で潤沢な予算を確保することが必要です。
第二の課題は、市町村との連係をどのように取るかということです。エコ農業茨城構想の推進部隊として、市町村は大きな役割を果たします。反面、戸別補償の財源を市町村まで求めるとすれば、厳しい台所事情から、推進どころかブレーキを掛ける自治体が出る懸念があります。その意味では、市は県が行っているように県単独の助成制度として立ち上げる必要があります。
来年度の具体的な予算編成の中で、このエコ農業茨城構想への予算付けは、大きなポイントとなります。
今日のヒアリングを受けて、茨城県議会公明党としては、この事業への新規予算に最大限の努力をしていくことを確認しました。