3月14日、井手よしひろ県議ら公明党県議団は、日立市十王町の独立行政法人「林木育種センター」を訪れ、花粉をほとんど出さない無花粉スギ「爽春(そうしゅん)」の育種状況を現地調査しました。
林木育種センターでは、花粉症の抜本的な対策のために、関東育種基本区(1都12県の区域)内において、これまでに選抜、収集・保存してきたスギ1400クローンを対象に、雄花の中の花粉の状態について調査を行ってきました。平成17年1月、気象害抵抗性候補木である個体の1つが遺伝的に花粉が全く生産されない特性を持つ無花粉スギ(雄性不稔スギ)であることを確認し、この無花粉スギを「爽春(そうしゅん)」と名付け、品種登録の出願しました。今年(平成20年)3月6日、無花粉スギ「爽春」は、種苗法に基づき品種登録されました。
無花粉スギは、普通のスギと同様に雄花を着けますが、雄花が成熟する過程で花粉が正常に発達せず最終的に花粉が生産されないため、スギ花粉が飛散しないという特徴をもっています。
国では、平成20年度予算に「花粉発生源対策プロジェクトの推進」を位置づけ、①首都圏等へのスギ花粉の飛散に強く影響を与えると推定されるスギ林について、少花粉スギ林等への転換を進め、10年間でおおむね5割減少させる、②少花粉スギ等の苗木の供給量を10年後(平成29年)にはおおむね1,000万本に増大する(これまでの目標は、平成28年に100万本)、ことなどを目標に掲げ、スギ花粉発生源対策を飛躍的に加速化させることにしています。
こうしたプロジェクトと連動して無花粉スギ「爽春」は、都市部や公園などのスギ林の転換などに活用する計画で、苗木の供給量を大幅に増大することが必要になりました。
現在、林木育種センターでは、新たな挿し木生産(マイクロカッティング)の導入に必要な研究や組織培養により増殖等を行い、都道府県に対し苗木を供給する事業が急ピッチで進められています。
参考:「花粉発生源対策プロジェクトの推進」(林野庁のホームページ)