定額給付金いつ出るの? 年度内「努力しますとしか…」 茨城
産経新聞(2009/1/15)
総額2兆円の定額給付金を盛り込んだ平成20年度第2次補正予算案が(1月)13日、衆院を通過したことを受け、支給事務を担う茨城県内の各市町村は、具体的な方策の検討に入った。ただ、政府が目指している年度内の支給は「かなり難しい」(県市町村課)状況で、県内でも地域によって支給時期に“格差”が生じる可能性がある。
定額給付金は18歳までと65歳以上の人には1人当たり2万円、それ以外の人には1万2000円が支給される。同課によると、県内では296万8396人に対し、総額449億6693万6000円の定額給付金が支給される見込み。
総務省が昨年11月に全国の自治体に示した実施概要素案によると、定額給付金の支給開始は「年度内」とされているが、具体的な日程は各市町村が決めることになっている。このため、各市町村議会で、給付金支給のための補正予算案を可決する必要がある。
こうした手続きが行われる2月中旬から3月にかけては年度末ということもあり、「通常業務が忙しい」(同課)時期にあたる。にもかかわらず、給付金の支給には、基準日の2月1日現在の年齢や住所、給付額などを確定させる必要があり、膨大な事務作業が予想される。実際の給付金の交付も、口座振り込みなのか窓口での現金支給なのか国の基準が統一されておらず、各市町村に判断が委ねられている。
約16億円の支給を見込んでいる取手市は、プロジェクトチームを立ち上げ年度内支給を目指すが、「事務処理や支給方法などでどの方式をとっても時間がかかる。(国の結論を)早くしてほしい」と訴える。
土浦市では約22億円の支給を見込む。市議会の日程の関係上、年度内の給付金振り込みは困難との見通しだが、「年度内に(給付金の受け取りに必要な)申請書の郵送まで持っていきたい」(市行政経営課)という。
現金を取り扱う業務だけに、事務処理には慎重さが求められる。常総市は「支給は住民基本台帳に基づいて行うことになるが、実際に居住していない人を削除するにも周辺の実態調査などが必要だ。厳密にやると半年以上かかる」と指摘する。手探りの業務だけに「思わぬ課題が出てくるだろう」(日立市)と懸念する声もある。
支給されることだけは間違いなさそうだが、いつどのように支給されるのか見通しがたたない定額給付金。「『年度内に支給できるか』と聞かれたら、今の段階では『努力します』としか答えようがない」(つくば市)というのが実態のようだ。
1月13日、国の第二次補正予算が衆院本会議で可決されました。定額給付金を含む補正予算が衆院を通過したことによって、憲法の規定により2月12日には自然成立することになります。
また、総額2兆円に上る給付金の財源を、特別会計の金利変動準備金を取り崩すことによって求める法律は、参議院での審議が混乱した場合、3月14日以降になる可能性があります。
給付の主体となる市町村が、3月末までに定額給付金をもれなく、確実に住民の届けるためには、様々な課題を乗り越える必要があります。
自治体や地方議会がやらなければならないことをまとめると以下のようになります。
①各自治体は住民基本台帳に基き給付する世帯を絞り込み、それぞれの家庭に配るお金の額を決める。
②2月12日の第二次補正予算自然成立を受けて、総務省は正式に給付金の交付要綱をまとめ、各自治体に通達。
③自治体は2月中旬には給付金を盛り込んだ補正予算を、議会に上程し議決、もしくは首長の専決処分を行う。給付に必要な情報システムなどの構築に着手。
④2月下旬から、3月上旬にかけて、給付金の受け取り方法を住民にお知らせせる。住民は、口座振込みか、窓口受け取りかを回答する。
⑤3月下旬 給付金の交付スタート。6ヶ月間受け付ける。
ここで一番、問題となるのは、③の補正予算(または専決処分)の議決です。補正予算は成立していますが、関連法が成立していない政策に、地方自治体が補正予算を組んで議会に提案できるのか、あるいは専決処分が出来るのかという問題があります。
そもそも、自治体の首長で定額給付金に反対する人がいた場合、関連法の成立までは議会に補正予算を提出することはまず無いでしょう。
当然、野党の地方議員は徹底的に定額給付金に反対すると思われ、この時点で地方議会は立ち往生してしまいます。関連法案が再議決される3月中旬まで待たなければ、地方議会での結論が出ないとなれば、定額給付金を年度内支給することは出来なくなってしまいます。
定額給付金のキモは、一刻も早く、確実に全ての国民の元に届けることです。政府は、こうした地方自治体の状況を鑑み、速やかに対応策を明示するべきだと思います。