戦後最悪ともいわれる景気悪化の中、従業員を解雇せずに、休業などで雇用維持に努める企業を支援する雇用調整助成金の2月の利用状況(速報値)が、申請企業と対象者数ともに急増していることが明らかになりました。申請し受理した企業数は3万621件で、対象者は1月の約2倍に当たる186万5792人に増加しました。
公明党の推進で3月から助成率がさらに拡充され、雇用維持に大きな効果を上げていることが改めて浮き彫りになっています。
増加状況を都道府県別に見ると、愛知県(41万5710人)と静岡県(13万8422人)など、製造業が集中する地域の増加が顕著となっています。
申請し受理された企業は、2月までの2008年度累計で4万5942件に上り、対象者数は実に291万0362人と前年度(1万2940人)の225倍に膨らんでいる。厚生労働省は、昨秋以降に申請企業が増加したことについて、「昨年末の要件緩和や助成率の拡充が大きい」としています。
一方、厚労省は、雇用情勢の悪化を踏まえ、3月30日から雇用調整助成金の助成率をさらに拡充。助成の判定基礎期間とその直前の6カ月間に従業員を解雇していないなどの要件を満たした場合、助成率が中小企業で10分の9(従来5分の4)、大企業では4分の3(同3分の2)に引き上げられました。
残業削減雇用維持奨励金を創設
一方、厚労省は3月30日、休業や残業削減を組み合わせることで解雇を防ぐ「日本型ワークシェアリング」推進のため、雇用調整助成金の一種として「残業削減雇用維持奨励金」を暫定的に創設。奨励金は、有期・派遣労働者1人当たり、大企業が20~30万円、中小企業では30~45万円の助成を行います。1社当たりの上限は、有期、派遣それぞれ100人分です。
残業時間を半分以下に減らすことによって、有期契約労働者や派遣労働者の雇用を維持した企業に支給します。
雇用調整助成金の拡充については、昨年12月に与党プロジェクトチーム(PT)が制度拡充を提言にまとめて首相に要請。その結果、助成率は大企業が2分の1から3分の2に、中小企業が3分の2から5分の4に引き上げられました。
さらに、今年2月にも与党PTがさらなる助成率の拡充や手続きの簡素化を首相に要請し、これを受けて、助成率の上乗せや、ワークシェアリング推進の奨励金の設置が実現しました。